ブラマンティーノ

バルトロメーオ・スアルディ（Bartolomeo Suardi）、通称ブラマンティーノ（Il Bramantino）は、15世紀中頃に誕生し、1530年頃に没したとされるイタリアの画家、建築家です。主にミラノで活動し、同地で活躍した著名な建築家ドナト・ブラマンテ（Donato Bramante, c.1444-1514）にちなんで「ブラマンティーノ」と呼ばれるようになりました。

生涯

ブラマンティーノは、ミラノでアルベルト・スアルディ（Alberto Suardi）とペトリーナ・ダ・スルビアーテ（Petrina da Sulbiate）の間に生まれました。1480年に父親を亡くし、貧困の中で金細工師の見習いとして働いていました。1490年にはミラノに居住しており、妹の結婚の持参金を支払う義務を負っていた記録から、生年は1465年頃と推測されています。1494年には、妹の持参金支払いの延期を公爵に嘆願する文書が残されています。

1503年には、他の芸術家と共にミラノ大聖堂（ドゥオーモ）の装飾事業に参加し、ヴィジェーヴァノの工房で制作された「トリヴルツィオのタペストリー（Arazzi Trivulzio）」のデザインも担当しました。1504年には結婚しています。

1508年頃にはローマに約1年間滞在し、教皇からの依頼で仕事をしました。このローマ滞在中に、メロッツォ・ダ・フォルリ（Melozzo da Forlì, c.1438-1494）のフレスコ画に触れる機会があり、彼の作品にはダ・フォルリの影響が見られると指摘されています。

1509年にミラノに戻ってからは、教会向けの宗教画を数多く制作しました。また、第三次イタリア戦争では軍事技術者としてミラノの防衛に貢献しました。1525年のパヴィアの戦いの勝利後、ミラノ公フランチェスコ2世・スフォルツァ（Francesco II Sforza）の宮廷画家兼建築家に任命されました。1530年頃、ミラノでその生涯を終えました。

作品

ブラマンティーノの作品は、以下のようなものが知られています。

「エジプトへの逃避」: この作品は、彼の初期の作品であり、独特の構図と色彩が特徴です。
「聖母子と聖人たち」: 宗教的なテーマを扱いながらも、ブラマンティーノ独自のスタイルが際立つ作品です。
「聖セバスティアヌス」: 聖セバスティアヌスの殉教を描いた作品で、その描写の力強さが印象的です。
「アルゴスの女王ダナエ」: 古典的な神話に基づいた作品で、彼の幅広い知識と表現力がうかがえます。

彼の作品は、初期ルネサンスの様式と、北イタリアの地域性が見事に融合した独特のスタイルを持っています。

研究文献

ブラマンティーノに関する主な研究文献は以下の通りです。

W. Suida, Bramante pittore e il Bramantino, Milan, 1953.
G.A. Dell'Acqua, G. Mulazzani, L'opera completa di Bramantino e Bramante pittore, Milan, 1978.
Mauro Natale, Bramantino: L'Arte Nuova del Rinascimento Lombardo, Skira, 2015 (ISBN 978-8857223698).
Nicola Soldini, « Bramantino » dans le Dictionnaire historique de la Suisse en ligne, version du 20 décembre 2002.
ジョルジョ・ヴァザーリ（Giorgio Vasari）, Le Vite*, 1568.

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