ブラモール・レーン

ブラモール・レーン

歴史と概要

イングランド・サウス・ヨークシャー州シェフィールドに所在するブラモール・レーンは、シェフィールド・ユナイテッドFCの本拠地として知られる歴史的なスタジアムである。その開設は古く、1855年4月に遡る。当初はサッカーではなく、クリケット専用のグラウンドとして供用が始まった。

この地名の由来は、地元で鋳物業を営み、多くの資産を築いたブラモール家に因んでいるとされる。ブラモール家の名が冠されたこの施設は、当初はヨークシャー・カウンティ・クリケット・クラブ（ヨークシャーCCC）がホームグラウンドとして利用していた。

1889年からは、設立されたばかりのシェフィールド・ユナイテッドFCがこのスタジアムをホームとして使用するようになった。特筆すべきはその長い歴史であり、1855年の建設から現在に至るまで継続して運用されていることから、世界の主要なプロサッカー用スタジアムの中で最も古い歴史を持つと広く認識されている。

数々の名場面

ブラモール・レーンは、その160年以上の歴史の中で数多くの重要な試合やイベントの舞台となってきた。

サッカーにおいては、過去に幾度となくイングランド代表の国際試合が開催されている。特に1930年代までに、国際Aマッチが5度も行われた記録がある。例えば、1883年にはスコットランド代表との親善試合が、1887年や1889年にはブリティッシュ・ホーム・チャンピオンシップでアイルランドやウェールズを迎え撃つ試合が開催された。また、国内最大のカップ戦であるFAカップの決勝が、1912年にこの地で開催されたことも特筆される。

近年では、2022年にイングランドで開催されたUEFA欧州女子選手権の主要会場の一つとして選ばれ、グループステージの3試合（オランダ対スウェーデン、スウェーデン対スイス、スイス対オランダ）と準決勝（イングランド対スウェーデン）の計4試合が行われた。これらの出来事は、スタジアムが常にイングランドサッカー史の重要な一端を担ってきたことを示している。

観客数の記録と現状

ブラモール・レーンにおける史上最多観客数は、1936年2月15日に開催されたFAカップ5回戦、地元の宿敵リーズ・ユナイテッドFCとのダービーマッチで記録された68,287人である。これは、当時のスタジアムの構造と、地域におけるサッカーへの尋常ならざる熱狂を示す数字として語り継がれている。

しかしながら、現代においては安全基準の向上や立ち見席の原則的な禁止などの影響により、スタジアムの最大収容人数は大幅に減少している。現在は、過去の最多記録の半分程度が安全上の観点からの最大収容人数とされており、約32,000人強が現在の収容能力となっている。

サッカー以外の利用

ブラモール・レーンはサッカーだけでなく、他のスポーツイベントにも使用されることがある。例えば、2015年にはラグビーリーグ・ワールドカップの試合会場としても利用された実績がある。これは、多様なイベントに対応できる施設の柔軟性を示している。

まとめ

ブラモール・レーンは、160年以上の歴史を持ち、クリケットスタジアムから世界最古のプロサッカー主要スタジアムへと変貌を遂げた特異な存在である。シェフィールド・ユナイテッドFCの揺るぎない本拠地として、またイングランドサッカーの歴史を見守ってきた証人として、その存在感は大きい。過去の熱狂的な観客の記録から現代の安全基準に基づいた収容人数まで、時代の変遷を映し出しながら、現在もなお多くのファンが集う場所であり続けている。

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