ブランコ・シカティック

ブランコ・シカティック：初代K-1王者、石の拳と呼ばれた男

ブランコ・シカティック（Branko Cikatić、1954年10月3日 - 2020年3月23日）は、クロアチア（旧ユーゴスラビア）出身の元キックボクサー。初代K-1 GRAND PRIX王者としてその名を刻み、「石の拳」の異名で恐れられた。

生い立ちと格闘技への道

シカティックは、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国（現クロアチア）のスプリトで生まれた。12歳でテコンドー、16歳で松濤館流空手を始め、18歳でキックボクシングに転向。格闘家としてのキャリアをスタートさせた。

K-1 GRAND PRIX '93 優勝

1993年、38歳という年齢でK-1 GRAND PRIX '93に出場。1回戦でチャンプア・ゲッソンリット、準決勝で佐竹雅昭、決勝でアーネスト・ホーストをいずれもKOで破り、初代K-1王者に輝いた。右ストレート、右スイングフック、カウンターの左フックを武器に、高いKO率を誇った。

引退とクロアチア紛争

1994年12月10日、K-1 LEGEND 乱でアーネスト・ホーストと引退試合を行い、KO勝ちで有終の美を飾った。引退の理由は、自身の衰えではなく、当時のクロアチア独立戦争への参加であった。引退後は、クロアチアの特殊コマンド部隊教官として、スポーツ選手で構成された部隊を率いて戦場に赴いた。
シカティック本人は、ホーストとの引退試合を自身のベストバウトとして挙げている。

現役復帰とPRIDE参戦

1997年3月16日、K-1 KINGS '97で現役復帰。ムサシ（武蔵）にKO勝ちを収めた。同年7月20日、K-1 DREAM '97でサム・グレコに生涯初のKO負け。同年9月7日、K-1 GRAND PRIX '97の1回戦でマイク・ベルナルドにTKO負けを喫した。

1997年10月11日、総合格闘技PRIDEに参戦。PRIDE.1でラルフ・ホワイトと対戦し、ノーコンテスト。PRIDE.2ではマーク・ケアーに失格負け、PRIDE.7ではモーリス・スミスに一本負けを喫した。

その後

2005年7月18日、WORLD OYAZI BATTLE -SAMURAI RETURN!-で金山裕文と対戦し、判定ドロー。その後は母国クロアチアで警備会社「タイガー・シカティック」を経営し、要人警護などを担当した。また、日本クロアチア協会の常任理事も務めていた。

死去

2018年に肺塞栓症と敗血症で入院。パーキンソン病も発症し、2020年3月23日に死去。65歳没。

戦績

キックボクシング：169戦150勝15敗3分138KO1NC
K-1：11戦6勝5敗6KO

獲得タイトル

アマチュア
WAKO欧州選手権大会 優勝（3回）
WAKO世界選手権大会 3位
プロ
IKBF世界ヘビー級王座
WKA世界王座
* K-1 GRAND PRIX '93 優勝

ブランコ・シカティックは、その強烈な打撃と異色の経歴で、格闘技史に名を残すこととなった。

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