ブランドン・ウッド

リチャード・ブランドン・ウッド：期待と重圧の狭間で

リチャード・ブランドン・ウッド（Richard Brandon Wood, 1985年3月2日 - ）は、アメリカ合衆国テキサス州オースティン出身の元プロ野球選手です。三塁手として右投右打で活躍しましたが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

アマチュア時代の輝きとプロ入り

ウッドは、高校時代からその才能を発揮し、全米高校代表チームにも選出されるなど、アマチュア時代から大きな注目を集めました。2003年6月3日、アナハイム・エンゼルスからドラフト1巡目（全体23位）で指名を受け、6月6日に契約を締結。ルーキー級からプロとしてのキャリアをスタートさせました。

マイナーリーグでの圧倒的な成績

2005年には、A+とAAAの合計134試合で打率.321、43本塁打、116打点という驚異的な成績を記録。出塁率.381、OPS 1.048という数字が、彼の打撃能力の高さを物語っています。フューチャーズ・ゲームにも出場し、カリフォルニア・リーグのMVP、チーム内のマイナーリーグ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー、MiLB.comが選ぶマイナーリーグ・オフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーの三冠に輝きました。さらに、アリゾナ・フォール・リーグのオールプロスペクト・チームにも選出され、チーム内の有望株リストで1位にランクイン、ベスト・パワーヒッターにも選ばれました。

2006年もAA級で好成績を挙げ、テキサスリーグのミッドシーズン・オールスター、ポストシーズン・オールスターに出場。ベースボール・アメリカ誌とTopps社のAA級オールスターにも選ばれるなど、その評価は高まるばかりでした。2年連続でチーム内のマイナーリーグ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、有望株リストでも1位、ベスト・パワーヒッターにも選出されています。

メジャーリーグへの挑戦と苦悩

2007年4月26日、ついにメジャー初昇格を果たし、タンパベイ・レイズ戦で九番打者・三塁手としてスタメン出場。デビュー戦は4打数無安打に終わりましたが、翌日のシカゴ・ホワイトソックス戦で初安打を記録しました。その後、マイナー降格と再昇格を繰り返しながら、AAA級で結果を出し、8月22日以降はメジャーに定着しました。

しかし、メジャーの壁は厚く、出場機会は限られました。2010年にはメジャーで過去最多の81試合に出場しましたが、打率は.146と低迷。2010年のウッドのOPS.382は、1912年以降に年間200打席以上を得たメジャーリーグ選手の中で歴代最低という記録となってしまいました。

移籍と引退

2011年4月22日、ウェイバーでピッツバーグ・パイレーツに移籍。同年は2チーム合計で自己最多の105試合に出場し、打率（.216）や本塁打（7）など、主要な打撃指標で自己最高の成績を残しましたが、2011年11月2日にFAとなり、メジャーリーグでのプレーは同年が最後となりました。

その後、コロラド・ロッキーズ、カンザスシティ・ロイヤルズ、ボルチモア・オリオールズ、サンディエゴ・パドレスとマイナー契約を結びましたが、メジャー復帰は叶わず、2014年には独立リーグでプレー。しかし、成績が低迷し、引退を決意しました。

引退後

引退後の2016年3月、マイナーリーグのトリシティ・ダストデビルズ（ショートシーズンA級）の監督に就任しました。

選手としての特徴と苦悩

ベースボール・アメリカ誌の有望株リストでは、2006年版3位、2007年版8位、2008年版16位にランクインし、「次代のカル・リプケン・ジュニア」と評されるなど、大きな期待を受けていたウッド。しかし、マイナーリーグで好成績を残しても、メジャーリーグではその打撃が通用しませんでした。メジャーでの通算打率は.186です。

引退後の取材で、現役当時は大きな期待が重圧となり、精神的に変調をきたし、不安感や不眠、目眩などに悩まされていたと語っています。有望株としての期待が、彼にとって大きな負担となっていたのです。

リチャード・ブランドン・ウッドは、その才能を開花させることができませんでしたが、野球界に足跡を残した選手の一人として記憶されるでしょう。

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