ブラーマ・クマリス

ブラーマ・クマリス

ブラーマ・クマリス（Brahma Kumaris）は、1930年代にインドのハイデラバードで宝石商のレクラージ・クリバラーニによって設立された新興宗教です。この団体は主に女性のリーダーシップのもとで運営され、信者は「ブラフマーの清き娘たち」として知られています。名称は「ブラフマーのクマーリーたち」を意味し、女性の精神的成長とコミュニティの形成を目指しています。

沿革

ブラーマ・クマリスの起源は、1936年に設立されたグループ「オーム・マンディリ」にさかのぼります。レクラージは宝石商としての生活を送っていましたが、50代になってから霊的な経験を経て瞑想を中心とした新たな道を選択しました。聖典の読書会を開く中で、参加者も霊的体験を得るようになり、やがてグループは自己変容のための自給自足のコミュニティへと進化しました。最初のメンバーには、家庭内の問題から独立を求める女性たちが多く、彼女たちにとってブラーマ・クマリスは新たな希望の場となったのです。

この団体は家父長制の影響が強いヒンドゥー社会において、女性に独身を選ばせる革新的な存在となり、ドメスティック・バイオレンスから逃れるための避難所としても機能しました。その結果、男性の支配に挑戦するような団体として、様々なトラブルや事件が発生しました。

1952年にはアーブー山に本部が設立され、ここは信者にとっての巡礼地となります。1971年にはロンドンに初の海外センターが開設され、以後世界各地に広がる土台が築かれました。1981年には参加メンバーが約4万人だったのが、1988年には約10万人、2007年には80万人に達し、128か国に7000以上のセンターを展開しています。

初期のブラーマ・クマリスは、物質的世界への否定と終末論に基づいていましたが、後の時代では心の平安を求める団体として愛と平和を追求するアイデンティティへと変化を遂げました。

信仰と戒律

ブラーマ・クマリスでは、浄化された生活と瞑想を通じて霊魂の自覚を目指します。これにはラージャ・ヨーガと呼ばれる実践的な瞑想が含まれています。信者は特定の宗教に縛られず、いかなる宗教からも自由です。メンバー同士は信者ではなく生徒だと考え、互いに兄弟姉妹と呼び合う文化を持っています。そのため、高潔な生活を重視し、乳製品を含む菜食主義を採用していますが、アルコールや薬物、性行為は禁止されています。古参メンバーは厳格なルールに従い、早朝から瞑想を行う一方、一般メンバーは自分なりに清浄な生活を意識しています。

国連との関わり

ブラーマ・クマリスは国連とも連携し、1981年に公認NGOとして認定されました。以降、教育、災害支援、医療といった分野で活動を展開し、国連経済社会理事会の総合諮問資格、及び国連児童基金への諮問資格を持つ団体となりました。また、1986年には「百万分の平和の時間」と呼ばれる国際的な平和運動を展開し、世界中に平和のメッセージを広めています。

このように、ブラーマ・クマリスは個々の霊的な成長だけでなく、社会全体への平和の促進に貢献する団体として国際的にも重要な役割を果たしています。

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