ブリクストン・アカデミー

O2アカデミー・ブリクストンは、イギリス・ロンドン南部ブリクストン地区に位置する、名高いコンサート会場です。かつてはアストリア劇場という映画館として1929年に開業し、その後、サンダウン・センター、フェア・ディールを経て、1983年に現在の名称で再出発しました。

この会場は、ロンドンのアリーナ会場を除けば最大規模を誇り、スタンディングと着席の組み合わせで最大4,921人を収容可能です。その歴史は長く、数々の伝説的なアーティストたちがこのステージに立ってきました。セックス・ピストルズ、ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズといったロックの巨人たちから、レディオヘッド、ザ・クラッシュ、コールドプレイといった現代音楽の重要アーティストまで、多様なジャンルのミュージシャンたちが、UKツアーやヨーロッパツアーの一環としてブリクストン・アカデミーを選んできました。

会場の建築様式も魅力の一つです。1929年の開場当時から残るアールデコ調の内装は、長い歴史と伝統を感じさせ、独特の雰囲気を醸し出しています。この美しい内装は、数々の改修を経て現在も大切に保存されており、来場者に特別な体験を与えてくれます。

ブリクストン・アカデミーの成功は、熱心な音楽ファンでもあったサイモン・パークス氏によるところが大きいと言えます。彼は1983年にこの会場をわずか1ポンドで購入し、ローリング・ストーンズ、ブルース・スプリングスティーン、ボブ・ディラン、デヴィッド・ボウイといった大物アーティストを招聘しました。さらに、エリック・クラプトンやポリスといったアーティストがリハーサルに使用し、ワム!やカルチャー・クラブがミュージックビデオの撮影に使用したことも、会場の知名度向上に大きく貢献しました。

1994年から12年連続でNME誌の「ベスト会場賞」を受賞したという事実が、この会場の質の高さを物語っています。この輝かしい受賞歴は、観客満足度、サウンドシステムの質、スタッフの対応など、あらゆる面での卓越性を示しています。

また、ブリクストン・アカデミーでは多くのライブアルバムが録音されてきました。ピート・タウンゼント、フェイス・ノー・モア、セパルトゥラ、モーターヘッドなど、錚々たるアーティストたちが、この会場でのライブパフォーマンスを後世に残しています。これら数々のライブアルバムは、音楽史に刻まれた名演の数々と、ブリクストン・アカデミーの優れた音響環境を後世に伝える貴重な資料となっています。

現在、運営はAcademy Music Groupが行い、携帯電話会社O2との提携により、正式名称はO2アカデミー・ブリクストンとなっています。ロンドン地下鉄のブリクストン駅とストックウェル駅から徒歩圏内に位置し、アクセスも良好です。

歴史ある建造物、優れた音響、アクセス良好という三拍子が揃ったO2アカデミー・ブリクストンは、これからも多くのアーティストと観客を魅了し続けるでしょう。その歴史と伝統は、これからも多くの音楽ファンに語り継がれていくに違いありません。

もう一度検索