ブルさんのピクニック

『ブルさんのピクニック』：トムとジェリーと、大騒動のピクニック

1955年4月30日、劇場公開された『ブルさんのピクニック』（原題：Pup on a Picnic）。「トムとジェリー」シリーズの中でも人気が高い作品の一つとして知られています。シネマスコープで制作されましたが、標準的な4:3アスペクト比のバージョンも存在する点が興味深いところです。

物語の舞台：春のピクニック

物語は、春の陽気な日差しの中、ブルドッグのスパイクとその愛息タイクがピクニックに出かけるシーンから始まります。 準備万端整え、いざ出発という時に、トムとジェリーが登場。いつものように、二匹は追いかけっこを始め、その騒動がピクニックを大混乱に陥れます。ジェリーは巧みに食材の入ったバスケットに隠れてトムをからかい、トムは怒り狂ってバスケットをひっくり返し、食材は散乱。

スパイクは、トムのいたずらに気づき、不機嫌なままピクニック会場へと向かいます。

食材をめぐる攻防：トムVSジェリー

ピクニック会場で、スパイク親子は早速昼食の準備を始めますが、そこへまたしてもトムとジェリーが乱入。スパイクの監視の目をかいくぐりながら、トムはジェリーを捕まえようとしますが、ジェリーはバスケットの中に隠れて巧みに逃げ回ります。

トムは、スパイク親子がリンゴの木陰で昼寝をしている隙に、木の上からジェリーを釣り上げる作戦を思いつきます。しかし、ジェリーはトムの策略を見破り、釣り針にかかるのは食材ばかり。トムの悪巧みはことごとく失敗に終わります。

予想外の展開：蟻の大群の襲来

そして、物語は予想外の展開を迎えます。行進曲にのせて、大量の蟻の大群がピクニック会場に現れ、トムが釣り上げた食材に群がります。蟻の大群の行進による振動で、リンゴの木が揺れ、トムと多くのリンゴが落下。その衝撃で、スパイク親子は目を覚まします。

スパイクはトムを懲らしめようとしますが、目の前には、蟻の大群がスパイクたちの食材を運び去っていく光景が広がっていました。その中には、ジェリーがサンドイッチの上に乗り、得意げに手を振っている姿も。トムの悪事と、ジェリーのいたずら、そして蟻の大群の乱入によって、ピクニックは散々な結果に終わります。

登場キャラクター：個性豊かな面々

本作には、個性豊かなキャラクターたちが登場します。

トム：スパイクの食材を狙うも、ジェリーに翻弄され、スパイクに叩きのめされ、最後は蟻の大群に邪魔をされて失敗に終わります。
ジェリー：トムの策略をかわし、最後は蟻に運ばれたサンドイッチの上で勝利を謳歌します。
スパイクとタイク：ピクニックを楽しもうとするも、トムとジェリーに巻き込まれ、最後は食材を蟻に奪われます。
蟻の大群：行進曲にのって登場し、トムとスパイク親子の食材を強奪していきます。

日本での放映と評価

日本では、TBS系をはじめとする各系列局で1964年から1990年頃まで、断続的に放映されました。現在では、DVDなどでも視聴可能です。

まとめ：笑いと予測不能な展開

『ブルさんのピクニック』は、トムとジェリーのコミカルなやり取りと、予測不能な展開で観る者を飽きさせない作品です。スパイク親子のピクニックというシンプルな設定の中に、様々な笑いの要素が詰め込まれており、老若男女問わず楽しめる作品と言えるでしょう。 アニメーション技術も高く評価されており、特にシネマスコープ版は、当時の技術力の高さを示す貴重な作品となっています。

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