ブルックラディ蒸留所

ブルックラディ蒸留所：アイラ島のテロワールを体現するウイスキー

ブルックラディ蒸留所は、スコットランドのアイラ島に位置するスコッチウイスキー蒸留所です。ゲール語で「海辺の丘の斜面」を意味するこの蒸留所は、テロワール（土地の個性）を重視したウイスキー造りで知られています。

歴史

1881年、ロバート、ウィリアム、ジョン・ゴーレイ・ハーヴェイの3兄弟によって設立されました。彼らは当時スコットランド最大の蒸留所を経営しており、ブレンダーとしても著名でした。その後、オーナー変更を繰り返し、1995年には生産が停止されましたが、2000年にマーク・レイニエ率いるグループによって買収され、2001年に蒸留を再開しました。2012年からは、フランスの酒造企業レミーコアントローの傘下となっています。

製造

仕込み

マッシュタン（糖化槽）はブナハーブン蒸留所から譲り受けた鋳鉄製で、創業時から140年以上使用されています。1回の仕込みには7トンの麦芽を使用し、3万5000リットルの麦汁が得られます。

発酵

オレゴンパイン製のウォッシュバック（発酵槽）が6基あり、マウリ社のドライイーストを使用して60～100時間の発酵を行い、アルコール度数6～7度のもろみを生成します。

蒸留

初留器と再留器がそれぞれ2基ずつあり、どちらもストレートヘッド型でネックが長いため、雑味が少ないドライな味わいが生まれます。また、ジン製造用のローモンドスチル「アグリー・ベティ」も所有しています。

熟成

蒸留所内とポートシャーロット蒸留所の跡地に熟成庫があり、全ての原酒はここで熟成されます。

瓶詰め

スコッチウイスキーの蒸留所としては珍しく、敷地内にボトリング設備を所有しており、ラベリングから梱包まで自社で完結させています。

製麦

かつては行っていた製麦を1961年に中止しましたが、2023年の完成を目指して製麦施設を建設中です。

製造方針：テロワールへのこだわり

ブルックラディは、テロワールを重視したウイスキー造りを行っています。アイラ島産の大麦を使用し、蒸留、熟成、瓶詰めといった一連の工程を島内で完結させようとしています。また、着色や冷却濾過を行わないのも特徴です。

製品

現在、「ブルックラディ」「ポートシャーロット」「オクトモア」の3シリーズをリリースしています。

ブルックラディ

ピートをほとんど炊いていない麦芽を使用し、ピーティーさがないのが特徴です。

ポートシャーロット

フェノール値40ppmと、アイラ島の中では中庸なピーティーさが特徴です。熟成とボトリングは、かつて存在したポートシャーロット蒸留所の跡地で行われています。

オクトモア

原料麦芽のフェノール値が非常に高く、強烈なピートフレーバーが特徴です。バッチごとにフェノール値が異なり、全て限定品としてリリースされています。

ザ・ボタニスト

ローモンドスチル「アグリー・ベティ」で製造されるジンで、アイラ島に自生する22種類の山野草をボタニカルとして使用しています。

評価

評論家のマイケル・ジャクソンは、ブルックラディのハウススタイルを「ライトからミディアム、非常にしっかりしている、かすかにパッションフルーツ、塩っぽい。スパイシー、非常に飲みやすい」と評しています。

ブルックラディ蒸留所は、アイラ島のテロワールを最大限に活かした、個性豊かなウイスキーを生み出しています。その製法へのこだわりと革新的な取り組みは、世界中のウイスキーファンを魅了し続けています。

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