ブルース・キューリック

ブルース・キューリック：キッスを支えた名ギタリストの軌跡

ブルース・キューリック（Bruce Howard Kulick、1953年12月12日 - ）は、アメリカ合衆国出身のロックギタリスト、作曲家です。1980年代から1990年代にかけて、人気ロックバンド・キッスのリードギタリストとして活躍し、その後もUNIONやグランド・ファンク・レイルロードといったバンドで活動を続けました。兄は、同じくギタリストとしてキッスのサポートメンバーやミートローフのバンドメンバーを務めたボブ・キューリックです。

生い立ちと下積み時代

ニューヨークのブルックリンで育ったキューリックは、幼馴染のマイク・カッツ（B）、ガイ・ボイス（Ds）と共にKKBというバンドを結成し、音楽活動をスタートさせました。KKBは、クリームやイエスといったバンドの影響を受けた、パワフルなトリオ編成のバンドでした。

1977年から1978年にかけては、ミートローフのアルバム『地獄のロック・ライダー』(Bat Out of Hell)のワールドツアーに同行。また、マイケル・ボルトンと共にブラックジャックというバンドにも在籍し、ボルトンのソロ・アルバムでもギターを演奏しています。

キッス時代

1984年9月、ツアー直前に病気で演奏できなくなったマーク・セント・ジョンの後任として、ブルース・キューリックはキッスの4代目リードギタリストとして加入しました。加入のきっかけは、サポート・メンバーとしてキッスと親交のあった兄ボブの推薦でした。

キューリックは、ジミ・ヘンドリックスやクリームなどからの影響をベースに、1980年代風のトリッキーなテクニックを盛り込んだモダンなスタイルで、キッスの音楽に新たな風を吹き込みました。12年間に渡ってキッスに在籍し、『アサイラム』、『クレイジー・ナイト』、『ホット・イン・ザ・シェイド』、『リヴェンジ』といった5枚のスタジオ・アルバムと2枚のライヴ・アルバムに参加し、キッスの「素顔時代」を支えました。

1996年、キッスがMTVアンプラグドに出演した際、オリジナル・メンバーのエース・フレーリーとピーター・クリスがゲスト出演したことがきっかけとなり、オリジナル・メンバーでの再結成が決定。ブルース・キューリックとエリック・シンガーは、同年12月にキッスを脱退しました。

エース・フレーリーは2002年のフェアウェル・ツアー終了後に再び脱退しましたが、キューリックにキッスへの復帰の要請はありませんでした。

キッス脱退後

キッスを脱退後、キューリックは元モトリー・クルーのジョン・コラビらとUNIONを結成し、3枚のアルバムをリリースしました。2005年1月には、2回のライブを完全収録し、さらにボーナス・マテリアルを追加したUNION初のDVD『Do Your Own Thing Live』をリリース。同年、UNIONは日本やドイツでも公演を行いました。オリジナル・ドラマーが脱退した際には、キッス時代の同僚であったエリック・シンガーがドラムスを担当しました。

2000年、キューリックはグランド・ファンク・レイルロードに加入し、精力的にライブ活動を行いました。2005年には、実兄であるボブ・キューリックと共に、キッスの楽曲を題材にした教則DVD『KISS Forever』をリリースしました。2024年1月にグランド・ファンク・レイルロードからの脱退が発表されました。

ブルース・キューリックは、キッスの黄金時代を支えただけでなく、その後も様々なバンドやプロジェクトで才能を発揮し続けている、アメリカを代表するロックギタリストの一人です。

ディスコグラフィー (一部抜粋)

キッス:
アサイラム (1985年)
クレイジー・ナイト (1987年)
ホット・イン・ザ・シェイド (1989年)
リヴェンジ (1992年)
UNION:
Union (1998年)
Live in the Galaxy (1999年)
The Blue Room (2000年)
ソロ:
Audio Dog (2001年)
Transformer (2003年)
* BK3 (2010年)

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