ブルーフィルム (ポルノグラフィ)

ブルーフィルムとは

ブルーフィルムとは、映画の初期から存在したポルノグラフィーを題材とする映像作品の俗称です。これらの作品の多くは、風紀や治安上の理由から非合法とされ、摘発の対象となっていました。そのため、製作、複製、所持、上映が容易な短編の8mmフィルムが用いられることが多かったのが特徴です。

歴史

ブルーフィルムの歴史は古く、日本では大正時代から料亭や温泉宿などで秘密上映会が盛んに行われていました。永井荷風の小説『腕くらべ』には、秘密上映会を示唆する会話が登場しており、当時の社会におけるアンダーグラウンドな娯楽としての存在を窺い知ることができます。戦後、1952年頃までが全盛期とされ、摘発を受けながらも浅草や吉原周辺には10カ所以上の常設上映場が存在していました。

製作には、アマチュアだけでなくプロの映画関係者も興味本位や小遣い稼ぎで参加していたため、中には芸術性の高い作品も現れました。1960年代には、暴力団関係者を中心としたブローカーによって、10万巻にも及ぶブルーフィルムが製作、複製、販売されたとされ、その普及度が伺えます。しかし、1970年代に入り、ビデオデッキやビデオテープの普及により、ブルーフィルムは急速にその姿を消していきました。

ブルーフィルムを扱う映画・書籍

ブルーフィルムを題材とした映画や、ブルーフィルムに関する書籍も存在します。以下にいくつかの例を挙げます。

映画
ブルーフィルム 青の時代 1905-30 - フランスで再発見された作品を編集した映画
書籍
帰山教正『映画の性的魅惑』1928年（文久社書房）
三木幹夫『ブルーフィルム物語 : 秘められた映画75年史』1981年 (世文社)
矢野卓也『実録ポルノオビ屋闇の帝王 : 史上最大ブルーフィルム密造団の全貌』1982年（徳間書店）
長谷川卓也『いとしのブルーフィルム』1998年（青弓社）

これらの映画や書籍を通じて、ブルーフィルムの歴史や文化を知ることができます。

関連事項

ブルーフィルムに関連する事項として、以下のものが挙げられます。

わいせつ物頒布等の罪
ポルノ映画
ピンク映画
アダルトビデオ
裏ビデオ

これらの用語は、ブルーフィルムと同様に性的描写を含む映像作品や、それらに関連する犯罪などを指します。ブルーフィルムは、その歴史の中で、社会の暗部やアンダーグラウンド文化の一側面を映し出す鏡のような存在であったと言えるでしょう。

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