ブレイヴ (マリリオンのアルバム)

アルバム『ブレイヴ』の概要

『ブレイヴ』（Brave）は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンドのマリリオンによる1994年のスタジオ・アルバムであり、彼らの歴史において7作目の作品にあたります。本作はスティーヴ・ホガースが加入してからの3作目であり、彼の歌詞と感性が色濃く反映されています。

背景

このアルバムは、セヴァーン橋で保護された身元不明の少女にまつわる物語を描いたコンセプト・アルバムとして制作されました。ホガースは、ラジオでこの少女に関するニュースを耳にし、彼女の沈黙が神秘的な物語の始まりであると感じ取ったと述べています。この少女は、その後、警察の呼びかけによって無事に家族のもとへ帰ることができました。

ホガースは、前作『楽園への憧憬』が商業的なサウンドを追求したことを認めつつ、『ブレイヴ』ではバンドの原点に立ち返り、70分に及ぶダークで感情的なコンセプト・アルバムを作り上げたと語っています。彼はこのアルバムを、前作に対する反動として位置付けています。さらに、ドラマーのイアン・モズレイは、『ブレイヴ』を作ることでバンドが一体感を持つようになったと、後のインタビューで語りました。

プロデューサーとしてデイヴ・ミーガンが初めて関与し、彼は以前マリリオンの旧作『破滅の形容詞』でテープオペレーターを担当していました。最初、EMIからプロデュースの依頼を受けた際には、彼自身の音楽スタイルとのギャップを感じたようですが、EMIの説明によりプログレッシブとインディーの融合としての作品が目指されました。

本作は、2枚組LPとしてもリリースされ、曲の構成が特異なものとなっています。特に「永遠の逃避行」などの楽曲は、異なる面に分かれて収録され、エンディング部分にはCD版とは異なる内容が加えられています。

反響と評価

『ブレイヴ』は全英アルバムチャートで4週間にわたりランクインし、最高位は10位でした。また、シングル「ザ・ハロウ・マン」と「孤独な贅沢三昧」もチャートに登場しました。オランダのチャートでも成功を収め、最高7位を記録しました。

批評的にも高評価を受け、オールミュージックからは5点満点中3点、Kerrang誌では満点を獲得。また、『クラシック・ロック』誌の「90年代のベストアルバム30」にもランクインするなど、評価は多岐にわたりました。

収録曲一覧

アルバムには以下の楽曲が収められています。すべての楽曲はマリリオンが作曲を手掛けており、作詞はスティーヴ・ホガースが担当しています。

1. 沈黙の橋 - "Bridge" - 2:52
2. 嘘まみれの世の中で - "Living with the Big Lie" - 6:46
3. ランナウェイ - "Runaway" - 4:40
4. 永遠の逃避行 - "Goodbye to All That" - 12:26
5. ウェイヴ - "Wave"
6. 狂気 - "Mad"
7. 阿片窟 - "The Opium Den"
8. ザ・スライド - "The Slide"
9. スタンディング・イン・ザ・スウィング - "Standing in the Swing"
10. ハード・アズ・ラヴ - "Hard as Love" - 6:41
11. ザ・ハロウ・マン - "The Hollow Man" - 4:08
12. 孤独な贅沢三昧 - "Alone Again in the Lap of Luxury" - 8:13
13. 手を洗え - "Now Wash Your Hands"
14. ペーパー・ライズ - "Paper Lies" - 5:49
15. ブレイヴ - "Brave" - 7:54
16. ザ・グレイト・エスケイプ - "The Great Escape" - 6:30
17. 最期 - "The Last of You"
18. フォーリン・フロム・ザ・ムーン - "Falling from the Moon"
19. メイド・アゲイン - "Made Again" - 5:01

1998年にはリマスター版のCDがリリースされ、ボーナスディスクにはいくつかのデモ音源や新しいアレンジが収録されています。

参加ミュージシャン

• - スティーヴ・ホガース - ボーカル、キーボード、パーカッション
• - スティーヴ・ロザリー - ギター
• - マーク・ケリー - キーボード
• - ピート・トレワヴァス - ベース
• - イアン・モズレイ - ドラムス、パーカッション

本作は、その複雑な音楽構造やテーマ性によって、以来多くのファンの間で愛され続けている名盤として位置付けられています。

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