ブレスラウの戦い

ブレスラウの戦い：七年戦争における一局面

ブレスラウの戦い（1757年11月22日）は、七年戦争において、プロイセンとハプスブルク帝国（オーストリア）がブレスラウを巡って激突した戦いです。結果として、オーストリア軍が勝利を収めました。

戦いの背景

コリンの戦いでプロイセン軍が敗北した後、プロイセンは守勢に立たされました。北方からはロシア軍が、西方からはフランス軍と神聖ローマ帝国の諸侯軍が迫り、フリードリヒ大王は自ら軍を率いて西方へ向かい、これらの敵を撃破しようとしました。

一方、オーストリアは長年の悲願であったシュレージエン奪回を目指し、カール公子とレオポルト・フォン・ダウン率いる本隊、そしてフランツ・レオポルト・フォン・ナーダシュディ率いる別働隊、総勢8万を超える大軍を南からプロイセンへと進軍させました。シュレージエンの防衛を任されていたのは、ブラウンシュヴァイク＝ベーヴェルン公アウグスト・ヴィルヘルムでしたが、彼の指揮下にある兵力は、各地に分散した守備部隊を含めても4万程度と、オーストリア軍の半数に満たない状況でした。

9月7日、オーストリア軍はモイスの戦いでプロイセン軍を破り、抵抗を排除。カール公子率いる本隊がアウグスト・ヴィルヘルム率いるプロイセン軍を牽制する間に、ナーダシュディ軍がシュヴァイトニッツを攻撃し、11月13日までに陥落させました（第一次シュヴァイトニッツ包囲戦）。シュヴァイトニッツを奪ったオーストリア軍は、シュレージエンの中心都市であるブレスラウを攻略するため、軍を合流させて進軍しました。プロイセン軍にとって、ブレスラウはシュレージエンにおける重要な拠点であり、備蓄倉庫や工廠が置かれていたため、絶対に譲れない場所でした。

戦闘の経過

南西から進撃してくるオーストリア軍に対し、アウグスト・ヴィルヘルムは全軍を率いて出撃し、ブレスラウ郊外の村落に野戦築城を施し、陣地を構築してオーストリア軍を迎え撃つことにしました。11月22日、戦いが開始され、オーストリア軍は激しい砲撃を加えた後、西から南にかけて広範囲にわたって総攻撃を開始しました。両軍の間で激しい戦闘が一日中繰り広げられましたが、夜に入り、プロイセン軍はついに力尽きて敗走し、アウグスト・ヴィルヘルム自身も捕虜となってしまいました。

軍事戦略家クラウゼヴィッツは、アウグスト・ヴィルヘルムの作戦について、著書『戦争論』の中で、オーストリア軍が戦闘を求めて前進してきた場合、ブレスラウ方面に戦線を下げて本格的な戦闘を避け、時間を稼いでフリードリヒ大王率いるプロイセン軍主力の到着を待つべきだったと批判しています。

プロイセン軍が敗走した後も、ブレスラウ市内にはまだ10個大隊規模の守備部隊が残っていました。しかし、この部隊は地元の市民やザクセン軍の捕虜で構成されていたため、市郊外での敗戦の知らせが届くと、戦意を喪失して次々と逃亡。残った兵士たちもブレスラウ市民から抵抗しないよう圧力をかけられる状況となり、指揮官は抵抗を断念し、11月25日に降伏しました。

戦いの影響

この一連の戦いによって、オーストリアはシュレージエンの主要部を一時的に制圧することに成功しました。しかし、その頃、西方ではフリードリヒ大王が軍事史上名高いロスバッハの戦いで勝利を収め、シュレージエンへと転戦。ロイテンの戦いでオーストリア軍に大勝しました。シュレージエンを巡る戦いは、その後も5年間続くことになります。

ブレスラウの戦いは、七年戦争におけるシュレージエンの帰属を巡る争いの一環であり、その後の戦局に大きな影響を与えることになりました。

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