ブレスラウ包囲戦 (1757年)

ブレスラウ包囲戦（1757年）

ブレスラウ包囲戦は、七年戦争中の1757年 12月7日から12月20日にかけて、フリードリヒ2世率いるプロイセン軍が、オーストリア軍とフランス軍の1万7千の兵が駐留するブレスラウを包囲した戦闘です。ロイテンの戦いでのオーストリア軍の敗北後、ブレスラウはプロイセン軍に包囲され、最終的に降伏しました。

背景

プロイセン王フリードリヒ2世は、ザクセンへの侵攻後、ボヘミアへ進軍しました。フランス軍が同盟国ハノーファーに侵攻していることを知ると、彼は西へ転進し、1757年11月5日のロスバッハの戦いでフランス・オーストリア連合軍を破りました。その間、ロートリンゲン公子カール・アレクサンダー率いるオーストリア軍はシュヴァイトニッツを占領し、下シュレージエンへと進軍、11月22日にはブレスラウを占領しました。フリードリヒ2世率いるプロイセン軍は12日間で274キロメートルを行軍し、リーグニッツでブレスラウから撤退してきたプロイセン軍の残存部隊と合流しました。プロイセン軍は約3万3千人に膨れ上がり、ブレスラウから西へ27キロメートルのロイテンに到着しましたが、そこには6万5千のオーストリア軍が待ち構えていました。ロイテンの戦いにおいて、プロイセン軍は斜行戦術を駆使し、オーストリア軍の弱点を攻撃、これを潰走させました。オーストリア軍はボヘミアまで撤退し、シュレージエンは再びプロイセンの手に落ちました。

オーストリア軍は、シュレージエンの支配権を維持し、国の威信を保つためにブレスラウを維持しようとしました。また、ブレスラウには大量の補給物資が貯蔵されていました。しかし、プロイセン軍がオーストリア軍本隊をボヘミアまで追いやったことで、ブレスラウ駐留軍は孤立しました。この状況下で、オーストリア軍の指揮官シュプレヒャーは、降伏に言及する者を絞首刑に処すと警告しました。

包囲

包囲戦は厳しい寒さの中で行われ、雨や雪が降り、包囲軍と駐留軍の両方を苦しめました。12月7日までにプロイセン軍はブレスラウ市と外界との通信を完全に遮断し、砲台の建設を開始しました。数日後には城壁の外縁にある堀を占領し、砲台を完成させました。砲台が完成すると、プロイセン軍は直ちに包囲を開始しました。フェルディナント王子率いるプロイセン軍の一部隊は、郊外にある聖モーリッツ教会を占領し、新たな砲台を築きました。

プロイセン軍は何度も城壁に突撃を試みました。寒さは厳しく、逆茂木や塹壕は凍り付くほどでした。12月14日には、激しい砲撃の中でブレスラウの弾薬庫の一つが炎上、爆発し、周辺の家屋を破壊しました。オーストリア軍が消火に努める中、プロイセン軍は市の南にある砲台を拡大しました。天候はさらに悪化しましたが、プロイセン軍の包囲線は徐々に城壁に近づき、工兵はトンネルを掘り始めました。

12月13日から14日の夜にかけて、プロイセンのフランツ・カール・ルートヴィヒ・フォン・ヴィート・ツー・ノイヴィート将軍がオーデル川に隣接する「ポーランド人の郊外」を占領し、パンデュール兵51人を捕虜にしました。14日には聖モーリッツ教会の人々が市内へ逃げ込み、同日15時には城壁の外に残っていた最後の前哨地点が陥落し、ブレスラウと外界との連絡は完全に途絶えました。その夜、プロイセン軍は最大の攻城砲を修理し、砲撃を再開しました。数時間後、砲撃が別の弾薬庫に着弾し、防御線の一部を破壊、守備軍に約800人の死傷者を出させました。その後3日間、攻撃は昼夜を問わず続けられました。

12月15日から16日の夜にかけて、プロイセン軍は平行壕を1,000歩の長さまで延長し、塹壕の突出部を築き始めました。翌日には工兵が投入されました。また、プロイセン軍は跳飛射撃の戦術を使用し始めました。これは砲弾を低角度で射出し、胸壁の上を通過後、数回跳ねさせて胸壁の一部や砲床を破壊する戦術でした。12月19日、ダウンやカール・アレクサンダーからの援軍が期待できないと判断したシュプレヒャーは降伏を決意し、翌日プロイセン軍が城門を制圧、21日にはオーストリア軍とフランス軍がシュヴァイトニッツ門から退去しました。

影響

オーストリア軍とフランス軍は1万7千の駐留軍全てを失い、1千頭以上の軍馬、81門の大砲、その他多くの補給物資を失いました。また、駐留軍には13名の将軍を含む約700名の士官が含まれていました。駐留軍は約1,200人の戦死者を出しました。

ブレスラウの陥落は、オーストリアがシュレージエン全体を失うことを決定的にしました。12月はオーストリア軍にとって災難の月となりました。ロイテンの戦いでの大敗、シュレージエンからボヘミアへの撤退、そしてブレスラウ駐留軍の喪失は、オーストリアにとって大きな痛手となり、夏に占領した領土を冬に全て失う結果となりました。マリア・テレジアはシュレージエン奪還の希望を失わず、義弟のカール・アレクサンダーを更迭し、代わりにネーデルラント総督に任命、ボヘミアにおけるオーストリア軍の指揮にはレオポルト・フォン・ダウンを任命しました。

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