逆茂木

逆茂木（さかもぎ）

逆茂木とは、戦場や防衛拠点において、尖った木の枝を外側に向けて配置し、地面に固定することで、敵の接近を阻止するための障害物のことを指します。この障害物は、別名で逆虎落（さかもがり）、鹿砦（ろくさい）、鹿角砦、鹿角木とも呼ばれています。英語では、「abatis」や「abattis」などと表現され、戦闘の際には単独でも使用されますし、鉄条網などと組み合わせて使用されることもあります。

歴史

逆茂木の起源は古く、紀元前のローマ帝国時代まで遡ります。文献からは、アメリカの南北戦争や1879年のズールー戦争でも用いられたことが確認されています。1997年にはアメリカ陸軍や海兵隊による設営訓練も行われており、現在でもその技術が継承されています。

日本においても逆茂木は非常に古い時代から使用されてきたとされ、弥生時代にその存在が確認されています。また、第二次世界大戦でも実際に使用されたことが記録されています。昭和初期の軍事教本『学校教練必携. 軍事講話之部 前篇』の第7章では、逆茂木が「鹿砦」として詳しく説明され、二種類の設置方法が紹介されています。ひとつ目は「鹿砦枝樹」で、主に射撃を行う位置に設置されます。もうひとつは「樹幹鹿砦」で、火線前の死角や凹凸のある地形に設置して敵の射撃を妨げる役割を果たします。

特徴

メリット

逆茂木の大きな利点は、周囲に森林地帯がある場合、木材の調達が容易である点です。また、大型の逆茂木は、戦車の進行を阻む効果もあるため、防御において非常に有効です。

デメリット

一方で、逆茂木の設置は鉄条網に比べて手間がかかります。また、木材で構成されているため、火に弱く、燃えやすい特性があります。さらに、敵によってフックなどを使って引き抜かれるリスクもあるため、運用には注意が必要です。

見ることができる場所

逆茂木を実際に見ることができる場所として、吉野ヶ里遺跡が挙げられます。佐賀県の神埼市に位置するこの遺跡は、弥生時代の大規模な環濠集落であり、当時の生活様式が再現されています。

閉鎖について

逆茂木に関連する施設として、フランスのボーヌ近くに位置するArchéodrome de Beauneがありますが、これは2005年に経営難から閉鎖されました。

文化

「逆茂木型文章」という言葉も存在します。これは、主語が登場するまでに長い修飾語が続き、文の焦点がわかりにくくなる悪文の一形式を指します。

参考文献

逆茂木に関する詳細な情報は、関連文献や資料を参照することでより深く理解することができます。

関連項目

• - バリケード
• - 拒馬
• - パンジ・スティック（乱杭、乱杙）
• - しし垣

外部リンク

• - 逆茂木 - コトバンク

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