ブレット・カーン

ブレット・カーン：NFLを彩った名パンターの軌跡

ブレット・カーン（Brett Kern）は、1986年2月17日、ニューヨーク州グランドアイランドに生まれました。彼はアメリカンフットボールのパンターとして、その名を歴史に刻みました。

大学時代：才能の開花

トレド大学に進学したカーンは、2007年に才能を開花させます。彼は平均46.5ヤードという驚異的な記録を打ち立て、全米2位に輝きました。この活躍が認められ、ミッドアメリカン・カンファレンスの最優秀スペシャルチーム選手に選出。さらに、レイ・ガイ賞のファイナリストにも名を連ね、カレッジフットボール界のオールスターゲームであるEast-West Shrine Gameにも出場しました。

NFLへの挑戦：デンバー・ブロンコス

2008年、カーンはドラフト外フリーエージェントとしてデンバー・ブロンコスと契約。サム・パウレスクとのポジション争いを制し、見事正パンターの座を掴み取りました。ルーキーイヤーには、46回のパントで平均46.74ヤードを記録し、新人記録を更新。しかし、第12週のレイダース戦で89ヤードのリターンTDを許してしまう場面もありました。

2009年10月、チャージャーズ戦でダレン・スプロールズに77ヤードのリターンTDを許したことがきっかけとなり、ブロンコスからウェーバー（解雇）されます。当時、彼は平均46.1ヤードでNFL10位の記録を持っていましたが、ネットでは34.5ヤードとNFL27位に低迷。27回のパント中、リーグ最多となる6回のタッチバックを記録し、敵陣20ヤード以内に蹴り込んだのはわずか9回という数字が、解雇の理由となりました。

テネシー・タイタンズでの活躍：キャリアの頂点へ

ブロンコスを解雇されたカーンでしたが、すぐにテネシー・タイタンズから声がかかり、レジー・ホッジズに代わって正パンターに就任します。タイタンズでは、37回のパントのうち18回を20ヤード以内に蹴り込むなど、安定したパフォーマンスを見せました。

2010年には、ネットでAFC5位となる自己ベストの39.1ヤードを記録。2011年2月には、タイタンズとの契約延長を果たし、チームからの信頼を勝ち得ます。

2015年3月には、タイタンズと5年1500万ドルという大型契約を締結。2016年シーズンには、77回のパントで3,402ネットヤード、平均44.18ヤードを記録しました。

2017年10月8日のドルフィンズ戦では、キャリアハイとなる10回のパントを蹴り、フランチャイズレコードとなる549ネットヤード・平均54.9ヤードを記録。同年12月19日には、自身初となるプロボウルに選出されました。このシーズンは、75回のパントで3,728ネットヤードを記録し、フランチャイズレコードとなる平均49.71ヤードをマーク。オールプロのセカンドチームにも選出されるなど、キャリアの絶頂期を迎えます。

タイタンズは2017年シーズン、9勝7敗でプレーオフに進出。カーン自身も、ワイルドカードゲームのチーフス戦でプレーオフデビューを果たしました。2018年12月18日には2年連続でプロボウルに選出。この年は74回のパントのうち、39回を20ヤード以内に蹴り込んでいます。

2019年3月7日には、4年1255万ドルでタイタンズと契約延長。同年12月17日には、3年連続でプロボウルに選出されました。このシーズンは、リーグトップとなる敵陣20ヤード内のパントを37回記録し、オールプロにも選出されています。

晩年：苦難と新たな挑戦

2020年、カーンは第8週のベンガルズ戦で手首を負傷し、故障者リスト入り。その後、新型コロナウィルスに感染するなど、苦難の時期を過ごします。

2022年、ドラフト外で入団した新人ライアン・ストーンハウスとのポジション争いに敗れ、タイタンズから解雇。同年12月13日には、イーグルスとプラクティス・スクワッド契約を結びますが、2023年6月1日に現役引退を表明しました。

人物像：家族の絆

カーンの父親であるカル・カーンは、アマチュア野球チーム・ナイアガラ・パワーのオーナーを務めています。

ブレット・カーンは、その卓越した技術と努力で、NFLの歴史に名を刻んだ偉大なパンターでした。彼の功績は、これからも多くの人々に語り継がれることでしょう。

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