ブロックス

フランスのゲームデザイナー、ベルナール・タビシアンによって考案された「ブロックス（Blokus）」は、2000年にフランスのSekkoia社から世に送り出されたアブストラクト系のボードゲームです。日本では当初ビバリー社が販売を手がけていましたが、2010年からはマテル・インターナショナルが正規販売元となっています。日本国内で流通した初期版と現行版では、ピースのサイズにわずかな違いが見られます。

ゲームの性質と魅力

このゲームは、各自が持つ4色のブロックを20×20マスのボード上に配置していく陣取りゲームです。基本的なルールは極めて分かりやすい一方で、戦略的な深みを備えています。ピース同士が「頂点で接する」ことさえ許されれば配置可能という点が、他のプレイヤーの領域を縫うように進入したり、相手の進出を巧妙に妨害したりといった多様な戦略を可能にしています。

プレイの基本ルール

各プレイヤーは青、黄、赤、緑のいずれかの色を担当し、それぞれ小正方形1個から5個を繋げた全21種類のピース（合計89マス分）を所有します。ボードは20×20のマス目で区切られています。ゲームは手番ごとに1つずつピースを置いていく形式で進行します。

最初の配置: 最初に置くピースは、各プレイヤーの自陣となるボードの隅の1マスを必ず埋めるように配置する必要があります。
以降の配置: 2ターン目以降は、既にボード上にある自分のピースの「頂点」と接しており、「辺」では接していない場所にのみ、新しいピースを置くことができます。ただし、他のプレイヤーのピースとは辺で接しても問題ありません。

ゲームの終わり方と得点計算

順番にピースを置いていき、手持ちのピースの中でルールに従って配置できるものがなくなったプレイヤーは、その時点でゲームから退場します。全員がピースを置けなくなるとゲーム終了となり、以下の基準で得点計算を行い、最も点数が高いプレイヤーが勝者となります。

ボード上に置けなかったピース1マスあたり、マイナス1点。
手持ちの全21個のピースをすべて置ききったプレイヤーには、ボーナスとしてプラス15点が加算されます。
さらに、すべてのピースを置ききった上で、最後に置いたピースが最も小さい1マスのピースだった場合は、特別ボーナスとしてさらに5点が追加され、合計プラス20点となります。

プレイ人数による特別ルール

ブロックスは通常2人から4人でプレイできます。2人で対戦する場合、各プレイヤーは対角線上に位置する2色を担当し、最終的な得点はその2色分の合計点で競われます。3人でプレイする場合は、余った1色のピースを3人で順番に共有して使用しますが、この共有ピースは最終的な得点計算には影響しません。

主な派生ゲーム

ブロックスの人気を受けて、様々なバリエーションが生まれました。

ブロックスデュオ: 2人専用に設計されており、ボードが14×14マスとコンパクトになっています。ピースの形状は通常版と同じですが、色は白と黒（かつては橙と紫）です。スタート地点がボードの隅ではなく中央である点が異なります。持ち運びに便利な「おでかけブロックス」もこのタイプです。
ブロックストライゴン: ピースが三角形になったユニークなバージョンです。1個から6個の正三角形を繋げた22個のピースを使用します。ボードも正六角形（1辺9マス）となり、基本的なルールは共通しつつ、異なる形状の面白さがあります。
ブロックス 3D: ピースが立体となり、積み上げていくゲームです。11個の立体ピースを使用し、最後に上から見たときに自分の色のマスが最も多いプレイヤーが勝利となります。こちらも最初のピース以外は自分の色のピースと接して置く必要があります。
ブロックスパズル: 1人用の思考型パズルゲームです。通常版より少ない15個のピースを使い、問題カードに示された図形や指示に従ってボード上の空白部分を埋めていきます。
ブロックスシャッフル: カードゲームのUNOとコラボレーションしたバージョンです。UNOのカードとルールを取り入れ、カードを出しながらピースを配置します。特定のカード効果で、通常は許されない辺での接続が可能になるなど、サプライズ要素が加わっています。
* ブロックスシャッフルポケモンエディション: 2024年に登場した、ポケモンとのコラボ版ブロックスシャッフルです。ポケモンの「わざカード」が登場し、ピース配置に影響を与える特殊効果を駆使して対戦します。

デジタルゲーム版

ブロックスは、家庭用ゲーム機やモバイルデバイスなど、様々なプラットフォームに移植されています。日本では、PlayStation 2やPlayStation Portable向けに『ブロックス倶楽部 with バンピートロット』というタイトルで、アイレムソフトウェアエンジニアリングから発売されました。また、iPhone/iPod touchやPlayStation 3（ダウンロード専用）向けには、ゲームロフトからリリースされています。

栄誉ある賞歴

その優れたゲームデザインは高く評価され、数々の賞を受賞しています。主なものとして、フランスのパリトイグランプリ（2000年）、カンヌ国際トイフェスタ（2001年）、アメリカのメンサセレクト（2003年 - 高IQ団体メンサが選ぶ優秀なゲーム）などがあり、2002年にはドイツ年間ゲーム大賞にもノミネートされています。日本国内でも、日本ゲームマーケット大賞（2003年）や日本ボードゲーム大賞（2003年）、日本頭脳スポーツゲーム大賞（2005年）などを受賞しています。

大会開催と「ブロックスの日」

2019年には、マテル・インターナショナルが日本国内の最強プレイヤーを決める初の公式大会「ブロックスグランプリ」を開催しました。優勝者には特別な金色のピースが贈呈されています。また、2024年にはマテル・インターナショナルによって、毎年8月10日が「ブロックスの日」として制定されました。これは、ゲーム名の「Blokus」の「B」を数字の8に、「lo」を10に見立てた語呂合わせに由来しています。