ブロンズトキ

ブロンズトキ（学名：Plegadis falcinellus）

ブロンズトキは、ペリカン目に含まれるトキ科の鳥で、「カマハシトキ」という別名でも知られています。その名の通り、鎌のように湾曲した長い嘴が特徴です。

分布

この鳥は非常に広い地域に生息しており、オーストラリア、東南アジア、南アジアといったアジア大陸から、アフリカ全域、マダガスカル、そしてヨーロッパ南部、さらには大西洋を渡ってアメリカ大陸東岸の熱帯および温帯域にまで分布しています。驚くべきことに、アメリカ大陸で見られる個体群は、19世紀頃にアフリカから自然に分布を広げた比較的新しい移住者だと考えられています。ヨーロッパで夏に繁殖を行った個体は、冬が近づくとアフリカ大陸へと渡り、そこで冬を越すという規則的な渡りを行います。

形態

ブロンズトキの大きさは、おおよそ全長48センチメートルから65センチメートルほどです。羽の色は、季節によって大きく変化します。繁殖期を迎えた成鳥は、全身が深い赤褐色に染まり、翼には光沢のある暗緑色が現れます。この時期の姿は非常に鮮やかで目を引きます。しかし、繁殖期が終わった非繁殖期の成鳥や、まだ若い個体は、全身が地味な暗い体色にとどまります。

生態

主な生息環境は、内陸部の沼地や湿地が広がる草原です。特に水辺に近い場所を好みます。熱帯地域では、海岸沿いに広がるマングローブの林でも頻繁に観察されます。食料としては、水辺に生息する多様な小動物を捕らえます。魚類、エビやカニなどの甲殻類、カエルといった両生類、そして様々な種類の昆虫類などを、長い嘴を使って泥の中や水底から探して捕食します。

繁殖期になると、多数の個体が一箇所に集まり、コロニーと呼ばれる集団繁殖地を形成します。時には、同じ水辺環境を利用するサギの仲間たちと一緒に共同でコロニーを作ることもあります。巣作りは、雄が周辺から小枝や草といった巣材を集めて運び、雌がそれを使って水辺の樹上や茂みの中に巣を築くという役割分担で行われます。一度の産卵で、通常3個から6個の卵を産みます。卵を温める抱卵期間は、およそ20日から23日間です。抱卵だけでなく、孵化した雛に餌を与えたり世話をしたりする育雛（いくすう）も、雌雄が協力して行います。雛は孵化してから約20日ほどで巣から出て立つ（巣立ち）ようになり、さらに成長して約40日後には自力で飛べるようになります。このように、ブロンズトキは集団生活を送り、協力して子育てを行う鳥です。

参考文献:
『世界の動物｜分類と飼育　コウノトリ目+フラミンゴ目』、財団法人東京動物園協会、1985年
IUCN Red List of Threatened Species

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