ブロン・イ・アー

ブロン・イ・アー（Bron-Yr-Aur）は、ウェールズのグウィネズ地方にひっそりと佇む、18世紀に建てられたコテージです。その名前はウェールズ語で「黄金の胸」または「黄金の丘」を意味し、朝日を浴びて金色に輝く近隣の丘の様子から名付けられたと言われています。

このコテージが特に有名なのは、イギリスの伝説的なロックバンド、レッド・ツェッペリンとの深い関わりがあるからです。1969年から1970年にかけて、バンドのメンバーがここで休暇を過ごし、それが彼らの音楽性、特に1970年10月に発表されたアルバム『レッド・ツェッペリン III』に大きな影響を与えたとされています（ただし、滞在したメンバーや時期については様々な説があります）。

レッド・ツェッペリンの作品の中で、このコテージに直接言及している曲としては、『レッド・ツェッペリン III』に収録された「スノウドニアの小屋 (Bron-Y-Aur Stomp) 」と、アルバム『フィジカル・グラフィティ』に収録された「ブロン・イ・アー (Bron-Yr-Aur)」があります。また、『レッド・ツェッペリン III』のジャケットには「ブロン・イ・アーにもクレジットを与えるべきであろう」という注記が記されており、このコテージがバンドに与えた影響の大きさを物語っています。

「Bron-Yr-Aur」という名前の国際音声記号による表記は[brɔn.ər.aɪr]であり、カタカナで表音するならば「ブロン・ウアール」という発音がより近いと言えるでしょう（ロバート・プラントは「ブロン・ウロー」のような発音をしています）。しかし、日本では「ブロン・イ・アー」という表記が一般的になっています。

ブロン・イ・アーは、レッド・ツェッペリンのファンにとっては聖地のような場所であり、彼らの音楽のルーツを探る上で欠かせない存在と言えるでしょう。ウェールズの美しい自然に囲まれたこのコテージは、今も静かに時を刻み、伝説的なバンドの足跡を伝えています。

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