ブロードウェイ・メロディー

ブロードウェイ・メロディー（The Broadway Melody）

『ブロードウェイ・メロディー』は、1929年に公開されたアメリカの映画で、全編がトーキー形式のミュージカル作品です。この作品はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）から制作されたミュージカルの第一作であり、映画史においても重要な位置を占めています。本作は第2回アカデミー賞で作品賞を受賞し、トーキー映画の先駆けとしても名を馳せました。監督賞や主演女優賞（ベッシー・ラヴ）にもノミネートされています。

概要

『ブロードウェイ・メロディー』は、当時の興行界でも大ヒットを記録し、全米のほとんどの映画館でトーキー封切り作品として上映されました。1929年はトーキー映画の初期であり、性的な表現についても規制が少なかったため、映画は色彩豊かで楽しげな歌や音楽、魅力的な衣装を身にまとったダンサーたちによって彩られています。この独特の雰囲気が、多くの観客を惹きつけた要因となりました。

映画の脚本や音楽はそのために特別に書かれたもので、アーサー・フリードが作詞した印象的なテーマ曲は特に記憶に残る存在です。トーキー映画の特性を生かすため、大型カメラは防音が施されたボックスに収納され、撮影は主にフルショットやバストショットで行われ、現在見ると視覚的には一様な印象を受けるかもしれません。また、この映画が製作された当時は、ブロードウェイの優れた人材がまだハリウッドへ流入していなかったため、レビューシーンのクオリティが未熟に見えるのも当然のこととされています。

著名な「Wedding of the Painted Doll」は、当初は赤と緑のテクニカラー方式で撮影されましたが、残念ながら現在は白黒のプリントしか存在していません。この映画の成功を受けて、次々とミュージカル映画が制作されますが、十分なダンサーや振付師がいないため、質が伴わない作品が多く見受けられました。この時期の映画は「ミュージカル映画の石器時代」とも言われています。しかし、レビュー劇場の楽屋話を基にした華やかな舞台が展開される「舞台裏ミュージカル」は、1930年代に全盛期を迎え、今に至るまで愛され続けています。

続編としては、『踊るブロードウェイ』(1936)、『踊る不夜城』(1938)、『踊るニュウ・ヨーク』(1940)の3作品が製作されています。

ストーリー

物語は、田舎から夢を抱いてやって来たヴォードヴィル出身の姉妹ハンク（ベッシー・ラヴ）とクィニー（アニタ・ペイジ）が、歌手で姉の婚約者であるエディ（チャールズ・キング）と出会うところから始まります。エディが作った歌「ブロードウェー・メロディ」を持って、ザンフィールド一座に参加するための手続きを進める中で、エディは以前よりも美しくなった妹のクィニーに心を奪われてしまいます。そして、クィニーもまたエディに対して特別な感情を抱いていました。

クィニーは、姉の幸せを思い、エディを諦めようと富豪のジャック・ウォリナー（ケネス・トンプソン）と付き合い始めますが、これはハンクやエディにとって耐えがたい出来事でした。エディは必死にクィニーとのデートを阻止しようとしますが、やがて彼の本心が漏れ出し、ハンクも巻き込まれた感情の渦が展開されていきます。

スタッフとキャスト

• - 監督: ハリー・ボーモント
• - 製作: ハリー・ラプフ
• - 原作: エドマンド・グールディング
• - 脚本: サラ・Y・メイソン
• - 撮影: ジョン・アーノルド
• - 作詞: アーサー・フリード
• - 音楽: ナシオ・ハーブ・ブラウン

• - エディ・カーンズ: チャールズ・キング
• - ハンク・マホーニー: ベッシー・ラヴ
• - クィニー・マホーニー: アニタ・ペイジ
• - ザンフィールド: エディ・ケイン
• - ジャック・ウォリナー: ケネス・トンプソン
• - フロー: メアリー・ドーラン

この映画はただのエンターテインメントにとどまらず、映画産業の進化、特にミュージカル映画の発展においても重要な作品であると言えます。

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