ブロード・ピーク

ブロード・ピーク：挑戦と悲劇の8000[[メートル峰]]

パキスタンと中国の国境にそびえ立つブロード・ピークは、標高8051メートルを誇る世界第12位の高峰です。その圧倒的なスケールと、K2から約8キロメートルという近接性から、多くの登山家にとって魅力的な、そして同時に危険な挑戦の舞台となっています。

山容と名称

ブロード・ピークはガッシャーブルム連峰に属し、その山頂は東西に約1.5キロメートルにも広がり、その名の由来となっています。当初はK2の次に発見されたことから「K3」と呼ばれていましたが、山頂の広大さから「広い頂」を意味する「ブロード・ピーク」と改名されました。しかし、現地語であるバルティ語では「ファイチャン・カングリ」と呼ばれ、地元住民の間では「ブロード・ピーク」という名称はあまり浸透していないのが現状です。主峰の北側には鞍部を挟んで中央峰（8011メートル）と北峰（7490メートル）がそびえ立ち、複雑な地形を形成しています。西側のノーマルルートを辿る場合、主峰の手前に前衛峰（8035メートル）があり、これを頂上と誤認するケースも報告されています。

登頂の歴史：挑戦と犠牲

1957年、オーストリア隊が初めてブロード・ピークの主峰登頂に成功しました。高所ポーターや酸素ボンベを使用せず、わずか4人の隊員で登頂を成し遂げたこの快挙は、当時の登山界に大きな衝撃を与えました。しかし、ブロード・ピークへの挑戦は容易ではありません。数々の登山隊が挑戦し、成功を収めた一方で、厳しい気象条件や危険な地形によって命を落とす登山家も後を絶ちません。

主な登頂記録を以下に示します。

1954年: ドイツの登山隊が南西ルートからの登頂に挑戦するも、悪天候により断念。
1957年6月9日: オーストリア隊が初登頂（無酸素）。しかし、隊員の一人はその後、チョゴリサ峰登山の際に命を落としました。
1975年7月28日: ポーランド隊が中央峰に初登頂するも、下山中に3名が死亡しました。
1984年7月: ポーランドの登山家が北峰、中央峰、主峰の縦走に成功。
1988年3月6日: ポーランドの登山家が冬季に8000メートルラインを突破するも、主峰登頂には失敗。
1991年7月30日: 日本の登山隊が複数名で無酸素登頂。
1995年7月20日: 日本の登山隊がアルパインスタイルで北峰～中央峰～主峰の縦走に成功。
1998年7月29日: フランスの登山家が頂上稜線で遭難死。
2006年: オーストリアの登山家が登頂するも下山中に遭難死。翌年、遺体が収容されました。8000[[メートル峰]]で遺体収容は非常に困難なため、これは異例のことでした。
2008年7月31日: 日本の登山家がクラシックルートを無酸素ワンプッシュで登頂。
* 2013年3月5日: ポーランド隊が冬季初登頂に成功するも、下山中に2名が消息不明となりました。

これらの記録は、ブロード・ピーク登頂の困難さと、挑戦者たちの勇気と覚悟、そして自然の脅威を物語っています。ブロード・ピークは、登山家にとって永遠の挑戦であり続けるでしょう。

もう一度検索