ブローム・ウント・フォス P.212

ブローム・ウント・フォス P.212



概要


ブローム・ウント・フォス P.212は、第二次世界大戦が終息に向かう1944年にドイツのブローム・ウント・フォス社によって設計された無尾翼のジェット戦闘機です。この機体は当時の軍事的な要求に対応するために創造され、ドイツ空軍の緊急戦闘機計画に基づいて開発が進められました。

開発の背景


P.212の開発は1944年、ドイツ空軍からの急遽の要求を受けてスタートしました。同時期に、フォッケウルフ Ta 183やユンカース EF 128などの競合機も開発されており、新型ハインケル HeS 011ジェットエンジンの搭載が予定されていたのです。ブローム・ウント・フォス P.212は、以前にレシプロ機として試作されたP.208の設計を基にし、特徴的な無尾翼構造を持つことが特長でした。

最終的には、ドイツ空軍が高高度での運用を考慮してフォッケウルフ Ta 183の採用を決定しましたが、ブローム・ウント・フォス社は自らP.212の開発を続けました。風洞実験や構造試験を経て、1945年5月からは試作機の製作に着手しています。初飛行を予定していた最初の試作機は、1945年の8月に実現する見通しでしたが、残念ながらドイツの敗戦が影響し、開発は中止となりました。

機体の特徴


P.212.01


最初の設計段階であるP.212.01は、比較的短くずんぐりとした機体を特徴とし、主翼は45°の後退角を持ち、翼端には垂直小翼が装備されていました。

P.212.02


次に開発されたP.212.02では、機体の長さが増し、元の垂直小翼はなくなりましたが、新たに下向きの小翼が追加されました。この段階でも機体のデザインは改善が進んでいました。

P.212.03


最後のバージョンであるP.212.03は、更に大型化し、燃料タンクの容量も増加しました。この仕様では最大4時間の飛行が可能とされ、主翼は40°の後退角を持ち、翼端には両方の小翼（垂直小翼と下向き小翼）が装備されていました。このバージョンがドイツ空軍に提示されたもので、最も完成度の高いモデルとされています。

結論


ブローム・ウント・フォス P.212は、戦争の終焉に近い時期に開発されたものの、実際に運用されることはありませんでしたが、その革新的なデザインや無尾翼という新しい試みは、後の航空機設計に影響を与えたと考えられています。戦時中の緊急戦闘機計画の一環として、生き残ったこれらの設計は、航空機技術の進歩を象徴するものとして重要な位置を占めています。

関連項目



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