プジョー・403

プジョー・403: フランスの中型乗用車

プジョー・403は、フランスの自動車メーカーであるプジョーが1955年から1966年にかけて生産した中型乗用車です。このモデルは、戦後のプジョーが唯一生産していた203の後継車として登場し、堅実で実用的な設計が特徴です。長期間にわたり市場で受け入れられ、多種多様なバージョンが提供されました。

車両の特徴

プジョー403の最大の特徴は、前後フェンダーが一体化した「ポンツーン型」および「フラッシュサイド・スタイル」のボディデザインです。このデザインは、イタリアの有名デザイナー、カロッツェリア・ピニンファリーナによるものであるとされ、従来の203に比べて居住性が大幅に向上しました。また、403は、ミシュラン製のXスチールラジアルタイヤやリクライニングシートを装備しており、快適な乗り心地を実現しています。

エンジンに関しては、基本的に203の設計を踏襲しながらも、ボアを75mmから80mmに拡大し排気量を1,468ccに、出力を58馬力に引き上げました。これにより、403の最高速度は130km/hに到達しました。エンジンのヘッドデザインは、203の複雑な鋳造設計をやめ、一般的なクロスフロー型に変更され、より信頼性が高まりました。

サスペンションについても、前モデルから改良が加えられましたが、後輪には依然として203の設計を採用。一方で、軽量なアルミ製デフケースと共に、乗り心地向上が図られています。

バリエーション

プジョー403は、多彩なバリエーションを展開しました。初めは4ドアベルリーヌ（セダン）が主流でしたが、1956年にはホイールベースの延長と共に5ドアのブレーク（ワゴン）や、2ドアのクーペ・カブリオレも登場しました。また、1958年にはオプションで電磁クラッチが選べるようになり、ブレークにはディーゼルエンジン搭載のモデルも追加されました。このディーゼルエンジンは、その経済性が高く評価され、1959年にはベルリーヌモデルにも導入されました。

1960年には、203の生産終了に伴い、特別なエンジンを搭載した「403sept（セット）」が廉価モデルとして登場しました。このモデルは外装が簡素化され、通常の403との差別化が図られています。しばしば新モデル404の登場とともに403はクーペやカブリオレをラインアップから外し、最終的に生産は1966年まで続きました。

テレビでの位置づけ

403は、アメリカの人気テレビドラマ「刑事コロンボ」で主人公のコロンボ警部補（演：ピーター・フォーク）の愛車としても広く知られています。フォーク自身が選んだこのくたびれた403カブリオレは、コロンボの個性やライフスタイルを象徴する存在として強い印象を残しました。シリーズの中でコロンボは時折車の不調に悩まされつつも、その愛着は変わらず、時には愛犬を助手席に乗せて走る姿が描かれます。

日本市場における展開

1950年代後半、日本ではプジョーの403は正規輸入されることはありませんでした。当時の厳しい規制によって、403は駐留米軍人によって持ち込まれたか、ヒストリックカーとして輸入されたものだけが存在します。このため、日本国内での403の実際の数は限られています。例えば、アメリカから戻ったミリタリーカーとしての403もいくつか存在します。

プジョー403はその間、信頼性・耐久性に優れた経済車両として評価され、さまざまなシーンで存在感を示しています。

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