プラエネスティーナ街道

プラエネスティーナ街道

プラエネスティーナ街道（ラテン語：Via Praenestina）は、古代ローマ時代に構築された主要な公共道路（ローマ街道）の一つです。この街道は、ローマ市と、その東方に位置する重要な都市を結ぶ交通路として機能しました。

当初、この街道はローマから東へ約18キロメートル離れた地点にある古代都市ガビ（Gabii）までを結ぶ目的で建設されました。そのため、開通したばかりの頃は、その終点にちなんで「ガビ街道」という名称で呼ばれていました。しかし、時代が下ると、その経路はさらに延伸されることになります。

ガビからさらに南東へおよそ15キロメートル進んだ場所には、古代の重要な都市プラエネステ（Praeneste、現在のパレストリーナ）が存在していました。街道がこのプラエネステまで延長されたことにより、その名称は現在の「プラエネスティーナ街道」へと変更されました。これは、街道の主要な目的地がプラエネステに移ったことを明確に示すものです。

プラエネスティーナ街道の延伸はプラエネステで止まらず、さらに内陸部へと続きました。最終的には、街道はアペニン山脈の山中に位置するアニオ川（Anio、現在のイタリア語ではアニエーネ川 Aniene）の源流域まで達しました。これにより、ローマとアペニン山脈の東部地域を結ぶ重要な連絡線としての役割も担うことになります。

ローマ市内におけるプラエネスティーナ街道の起点は、古代ローマの市壁であるセルウィウス城壁に設けられたエスクイリーナ門（Porta Esquilina）でした。ここから街道はローマの市街地を東へ向かいます。その後、より広範囲を囲むために後代に築かれたアウレリアヌス城壁に到達しますが、街道はこの城壁をプラエネスティーナ門として知られる地点で通過しました。このプラエネスティーナ門は、現在ではマッジョーレ門（Porta Maggiore）として一般に知られています。門を通り抜けた街道は、そのまま市外へと続いていきました。

特筆すべき点として、プラエネスティーナ街道のローマ市内における初期の区間、すなわちセルウィウス城壁のエスクイリーナ門を起点としてアウレリアヌス城壁のプラエネスティーナ門に至るまでの道筋は、同時期に存在した別の主要なローマ街道であるラビカナ街道（Via Labicana）と全く同じ経路を共有していたことが挙げられます。二つの街道はローマを出るまで同じ道を進み、市外でそれぞれの目的地へと分岐していったと考えられています。

このように、プラエネスティーナ街道は、その名称や経路が時代と共に変化しつつも、古代ローマとその東方地域、特にガビやプラエネステといった重要な都市、そして最終的にはアペニン山脈の内部とを結ぶ、長い歴史を持つ幹線道路でした。これらの都市との間で、人、物資、情報の移動を支え、地域の発展に大きく貢献したと考えられます。

（この文章は、提供された情報に基づいて記述されています。）

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