プラギアン

プラギアン（Pragian）

プラギアンは、国際層序委員会によって認定された地質学用語で、前期デボン紀の中期にあたる時代です。この時期は、約4億1080万年前から4億760万年前にかけて存在していたとされ、前期デボン紀の初期であるロッコヴィアン期と、後期であるエムシアン期の間に位置しています。日本では「プラハ期」とも称されます。

生物の進化

プラギアン期には、生物の多様化が進む中で、特に興味深いのが最初のアンモナイトの出現です。アンモナイトはアゴニアタイト目に属し、この時期に登場しました。また、プラギアン階で現れたバクトリテス目のオウムガイ亜綱から進化したことでも知られています。

日本におけるプラギアン

日本の地質においてもプラギアン期の証拠は数多く見つかっています。例えば、高知県越知町の黒瀬川帯の横倉山層群では、放散虫層序に基づいて4つの群集帯が定義されており、そのうちの一つであるFutobari solidus帯はプラギアン階からエムシアン階にかけて分布しています。また、同じ高知県の鴻ノ森地域では、酸性凝灰岩層からは、エムシアンと後期シルル紀のプリドリ世までの放散虫化石群集が発見されています。

この地域では、主棘が3枚の葉片からなるEntactiniidae科の放散虫や、lamellar patagiumを持つCeratoikiscidae科の放散虫が広く分布していたと考えられています。

さらに、岩手県大船渡市日頃市地域にある南部北上帯の大野層からは、黒瀬川帯のTlecerina - Glanta群集に対応する放散虫化石が見つかり、これがロッコヴィアン階もしくはプラギアン階からエムシアン階に関連付けられています。また、釜石市の千丈ヶ滝層でも放散虫の化石が確認されており、その主棘の稜がシルル紀のものとは異なる特徴を示していることから、これもプラギアン階からエムシアン階に相当すると考えられています。

岐阜県旧上宝村の吉城層は長らくオルドビス系とされていましたが、最近の研究により放散虫化石によって上部シルル系プリドリ統からエムシアン階に相当することが指摘されました。同じ村の福地層もプラギアン階からエムシアン階に該当し、胸棘目に分類されるRomndina属の板皮類化石が見つかっています。これらの標本は1992年と2001年に報告されていますが、今後も同地域や日本の他の地域からの新たな板皮類化石の発見が期待されています。

このように、プラギアン期は古代の生物進化の重要な時期であり、日本においてもその痕跡が多く残されています。地質や化石の研究は、過去の生物の多様性や環境の変遷を理解する手助けとなっています。

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