デボン紀

デボン紀の概要

デボン紀（泥盆紀）は、古生代の中ごろに位置し、シルル紀の後と石炭紀の前の期間を指します。この時代は約4億1600万年前から約3億5920万年前まで続きます。デボン紀という名称は、イギリス南部のデヴォン州に由来し、その地層が後の地質年代の基準として設定されました。この時代は、特に魚類が多様性を持ち、豊かな生態系が形成されたことから「魚の時代」とも称されています。

デボン紀の環境

陸上環境

デボン紀の始まり、すなわち約4億2000万年前には、ローレンシア大陸やバルティカ大陸などの複数の陸塊が衝突し、新たなユーラメリカ大陸が形成されました。この大陸は現在の北アメリカの東岸、グリーンランド、スコットランドなどを含み、高い山脈が存在していました。山脈の存在は大気の流れに影響を及ぼし、周辺地域には降雨をもたらしました。これにより、大規模な河川が形成され、その流域に沿って植物が広がり始めました。

デボン紀には、シダ植物の一種であるアーケオプテリスが現れ、最初の森林が形成され、湿地帯も併せて形成されました。この多様な環境は、生物種の進化を促進しました。また、気候は変化に富んでおり、乾燥期も存在したため、より乾燥に強い生物、特に昆虫や両生類が急速に進化しました。

海洋環境

海洋においては、河川からの栄養素が豊富なため、コケムシやサンゴが大きなコロニーを形成しました。これらのコロニーには、ウミユリや三葉虫、甲殻類が生息し、多様な生態系を形成しました。この時代にはアンモナイトも出現しました。また、古いタイプの魚類である板皮類や、サメなどの軟骨魚類が繁栄しました。

生物の進化

硬骨魚類の進化と両生類の出現

デボン紀は、硬骨魚類の大発展の時代でもありました。彼らはシルル紀の河川域で進化し、乾季の環境に適応するために肺を持つ肉鰭類が現れました。また、デボン紀後期にはアカントステガやイクチオステガといった両生類が出現しました。

昆虫の出現

前年のシルル紀から陸上で多足類が繁栄しており、昆虫類もこの時期の前半に出現しました。昆虫は、カニやエビに近い系統から進化したと考えられています。初期の昆虫の化石は淡水や陸上で見つかっていますが、翅はまだ獲得していない原始的な形態でした。

サメの出現

デボン紀前期にはサメも登場しており、彼らは棘魚類の中から進化したと考えられています。デボン紀の代表的なサメには、クラドセラケがあります。これらの軟骨魚類は捕食者であり、現生のサメに似た形態を持っていました。

大量絶滅

デボン紀後期から石炭紀初期には、5大大量絶滅が発生しました。特に海洋生物に影響を与え、約82%の種が絶滅しました。この時期の急激な気候変動や海水面の後退、乾燥化、低酸素化が大量絶滅の要因として考えられています。

この時期の環境変化は、地球の生物に大きな影響を与え、デボン紀の物語は非常に豊かでありながらも劇的な結末を迎えました。デボン紀の研究は、地球の歴史と生物進化の重要な一幕を理解するための鍵となります。

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