プランゲ文庫

ゴードン・W・プランゲ文庫とは

ゴードン・W・プランゲ文庫（Gordon W. Prange Collection）は、第二次世界大戦終結後の1945年から1949年にかけて、日本国内で出版された印刷物の大半を網羅的に所蔵する、他に類を見ない特殊なコレクションです。この文庫は、連合国軍占領下の日本における出版活動の実態を今に伝える、非常に重要な歴史的資料群として知られています。

概要

プランゲ文庫の根幹をなす資料は、占領期に連合国軍の民間検閲支隊（CCD）が検閲のために収集した出版物です。これらの資料は、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ/SCAP）の参謀第2部（G2）で戦史室長を務めていたゴードン・ウィリアム・プランゲ氏の尽力により、アメリカ合衆国メリーランド大学に移送されました。1950年にメリーランド大学に到着した資料群は、その後1978年に「ゴードン・W・プランゲ文庫」と命名されました。

プランゲ文庫には、書籍、雑誌、新聞といった一般的な出版物だけでなく、報道写真、地図、ポスター、集会配布物など、多岐にわたる資料が含まれています。これらの資料は、当時の日本の社会情勢、人々の生活、文化、思想を多角的に捉えるための貴重な手がかりとなります。

利用方法

プランゲ文庫は、メリーランド大学図書館のホーンベイク図書館北館に所蔵されており、一般に公開されています。メリーランド大学関係者でなくても利用可能ですが、事前の予約が必要です。訪問希望日の3開館日前までに予約を行う必要があります。開館時間は午前9時から午後5時までで、土曜日、日曜日、アメリカ合衆国の祝日、メリーランド大学の春季・冬季休暇期間は休館となります。

所蔵資料

プランゲ文庫の所蔵資料は非常に多岐にわたります。主な内訳は以下の通りです。

図書・パンフレット: 約7万1000タイトル
雑誌: 約1万3800タイトル
新聞: 約1万8000タイトル
報道写真: 約1万枚
地図: 約640枚
ポスター: 約90枚
集会配布物: 140点
寄贈資料: GHQ関係者から寄贈された資料。チャールズ・L・ケーディス氏の個人文書も含まれます。

特に寄贈資料は、民間検閲支隊が収集した資料とは異なり、占領期のGHQ関係者、特に民政局に勤務したチャールズ・L・ケーディス氏の個人文書などが含まれているため、占領政策に関するより深い理解に繋がる貴重な資料です。

保存への取り組み

占領期に出版された印刷物は、紙質が非常に悪く、経年劣化が著しいという課題を抱えています。そのため、プランゲ文庫では資料の保存と利用促進のため、マイクロフィルム化やデジタル化が進められてきました。

1992年には、メリーランド大学が国立国会図書館と共同で雑誌保存事業を開始しました。翌1993年には新聞のマイクロフィルム化も開始されています。2001年には、日本財団からの助成を受け、教育関係図書の目録作成が行われました。さらに、2006年から2010年にかけては約8000冊の児童書のデジタル化が完了し、2011年からは一般図書のデジタル化も進められています。

これらの取り組みを通じて、貴重な資料の散逸を防ぎ、後世の研究者や関心を持つ人々が利用できるよう、努力が続けられています。

関連事項

プランゲ文庫を理解する上で、以下の事項についても知っておくと役立ちます。

大東亜戦争: 第二次世界大戦における日本の戦争。
プレスコード: 連合国軍による占領下の日本における報道規制。
民間検閲支隊: 連合国軍が設置した検閲機関。
日本における検閲: 戦時中、占領期における検閲の実態。
宣伝用刊行物の没収: 連合国軍によるプロパガンダ関連資料の没収。
言論統制: 戦時中、占領期における言論の制限。
連合国軍占領下の日本: 第二次世界大戦後の日本における連合国軍による占領。
連合国軍最高司令官総司令部: 連合国軍の最高司令部（GHQ/SCAP）。

外部リンク

より詳細な情報や最新情報は、以下の公式サイト等で確認できます。

ゴードン・W・プランゲ文庫
University of Maryland Libraries
プランゲ文庫ブログ (英語版、日本語版)
プランゲ文庫Twitter (英語版) 、プランゲ文庫Twitter (日本語版)
国立国会図書館
国際子ども図書館
国立国会図書館 リサーチ・ナビ Gordon W. Prange Collection
国立国会図書館 リサーチ・ナビ プランゲ文庫資料の検索


プランゲ文庫は、第二次世界大戦後の日本の姿を多角的に捉える上で、欠かすことのできない貴重な歴史資料群です。研究者のみならず、歴史に関心のある全ての人々にとって、重要な情報源となるでしょう。

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