プランタジネット朝

プランタジネット朝の歴史

プランタジネット朝（Plantagenet dynasty）は、中世のイングランドを支配した著名な王朝であり、1154年のヘンリー2世の即位から始まり、1399年にリチャード2世が廃位されるまで続きました。この時期の王朝は、貴族であったアンジュー伯アンリから始まったものであり、伝統的にプランタジネット朝は、その後に続くランカスター朝やヨーク朝とも密接な関係を持っていました。

プランタジネットの起源

プランタジネット家の起源は、ガティネ家にさかのぼります。この一家のフルク4世が11世紀にアンジュー伯となり、その後の家系がアンジュー家として知られるようになりました。特にヘンリー2世の祖父、フルク5世はエルサレム王国の王位に就いたことでも知られています。この一族のエニシダの木（プランタジェネスタ）を紋章とし、それが「プランタジネット」という名称の由来となりました。

王朝成立の背景

ノルマン朝の最後の王、ヘンリー1世は1120年に嫡男ウィリアムを事故で失い、その後、娘のマティルダを後継者として指名しました。マティルダはアンジュー伯ジョフロワ4世と結婚しましたが、ヘンリー1世の死後は母のアデルを持つエティエンヌ・ド・ブロワがスティーヴンとしてイングランド王に即位しました。この後、スティーヴンとマティルダは約20年にわたって内戦状態にありましたが、最終的に和平協定が結ばれ、マティルダの息子であるアンリ（後のヘンリー2世）が王位を継承することになりました。

アンジュー帝国の形成

ヘンリー2世は、イングランドの国王でありながらもフランスに広大な領地を持っていたため、彼の治世は「アンジュー帝国」と称されました。フランス王系との密接な血縁関係は、領地問題や王位継承を巡る争いの根源となり、後には百年戦争へと発展していきます。ヘンリー2世以降、国王たちはフランスとの関係に多くの注力を割かなければならず、その結果、国内の統治が疎かになる事態もしばしばありました。

王朝の崩壊

王朝の終焉は、リチャード2世の治世に起因しています。彼は後継者を持たず、民衆の反乱や百年戦争の戦費調達・内籠戦による政治的不安が続きました。ついには、彼は従兄弟に対する所領の没収を命じたことで反感を買い、捕虜となり殺されるという結果に至りました。その後、エドワード3世の孫にあたるヘンリーがランカスター朝を成立させ、続いてエドワード4世がヨーク朝を開くに至りました。こうして、テューダー朝の始まりをもって、プランタジネット朝は歴史の舞台から姿を消します。

アイルランドへの影響

ヘンリー2世は、アイルランド卿の称号を保持し、1171年にアイルランドへ初めて軍事 expeditionsを実施しました。これ当初は王国に服属させる試みであり、その後もアイルランドの支配は続きましたが、プランタジネット朝としての権力は限定的なものでした。

国王一覧

プランタジネット朝には多くの国王が存在しました。主な王は以下の通りです。

• - ヘンリー2世（在位：1154年 - 1189年）
• - 若ヘンリー（共同国王、在位：1170年 - 1183年）
• - リチャード1世（獅子心王、在位：1189年 - 1199年）
• - ジョン（欠地王、在位：1199年 - 1216年）
• - ヘンリー3世（在位：1216年 - 1272年）
• - エドワード1世（在位：1272年 - 1307年）
• - エドワード2世（在位：1307年 - 1327年）
• - エドワード3世（在位：1327年 - 1377年）
• - リチャード2世（在位：1377年 - 1399年）

プランタジネット朝は、イングランドの歴史において重要であり、多くの出来事や権力闘争を経て、現在に至るまでその影響を残しています。

もう一度検索