ランカスター朝

ランカスター朝について

ランカスター朝（ランカスターちょう）は、中世イングランドにおいて1399年から1461年、さらに1470年から1471年までの間に存在した王朝です。この王朝の歴史は、イングランドにおける権力争いや戦争の舞台の一つとして、多くの研究者の注目を集めています。

ランカスター家の起源

ランカスター家は、エドワード3世の四男、ジョン・オブ・ゴーントを祖としています。この家系はプランタジネット家の分家であり、彼がランカスター公位を継承したことから「ランカスター」という名が付けられました。彼の公位獲得は最初の結婚によるもので、これに先立つ1267年に、エドワード3世の次男であるヘンリー3世の息子、エドマンドがランカスター伯に叙されることに始まります。

エドマンドの長男トマスは、複数の伯を兼任しイングランド最大の貴族となりましたが、彼は従弟であるエドワード2世との対立により所領を没収され、刑罰を受けることになります。しかしトマスの弟ヘンリーの息子、ヘンリー・オブ・グロスモントはエドワード3世の時代に百年戦争で活躍し、ついには1351年にランカスター公の称号を得ることに成功しました。

ランカスター朝の成立

1399年、ジョン・オブ・ゴーントが亡くなると、彼の甥であるリチャード2世がランカスター公領を没収しました。これに対して、ジョンの息子ヘンリー・ボリングブルックが反乱を起こし、同年にリチャード2世を廃位し、ヘンリー4世として即位。これがランカスター朝の始まりとなりました。この動きの背景には、ジョンの弟エドマンド・オブ・ラングリーがヨーク公の称号を得て、ヨーク家の台頭があったことも重要です。この二つの家系は後に互いに対立する運命を辿ります。

薔薇戦争とランカスター朝の終焉

ヘンリー5世は百年戦争で数々の戦果を挙げましたが、息子ヘンリー6世が即位する頃には軍事的な優位性が失われ、ヨーク家との間で薔薇戦争が勃発します。1455年に始まったこの戦争は、1461年にヘンリー6世がヨーク朝のエドワード4世に王位を奪われる結果を招きました。ヘンリー6世は幽閉され、その後、1461年に捕えられ、1470年には一時復位を果たしますが、翌1471年には再び捕らえられ命を落とします。これによって、ランカスター家は事実上、王朝としての栄光を失い、以降1485年までヨーク朝がイングランドを支配することになりました。

テューダー朝の勃興

その後、ヘンリー7世が母のマーガレット・ボーフォートがランカスター家傍系であったことを背景に王位を獲得し、ヨーク家のリチャード3世を滅ぼすことで新たにテューダー朝を興しました。次第に、ランカスター家の影響力は失われていったものの、その歴史はイングランドの王朝における重要な一章として現在も語り継がれています。

歴代の国王

• - ヘンリー4世（在位：1399年 - 1413年）
• - ヘンリー5世（在位：1413年 - 1422年）
• - ヘンリー6世（在位：1422年 - 1461年、1470年 - 1471年）

ランカスター朝は、イングランド史の中でも特に複雑で波乱に満ちた王朝であり、数世代にわたる権力争いや戦争を通じて、国の政治に大きな影響を与えました。

もう一度検索