プリアンプ

プリアンプとは、電気信号を扱う機器の前段、つまり入力段に配置される増幅器のことです。これは、微小な信号を扱いやすいレベルまで増幅し、後続の増幅器で利用できるようにするために設計されています。別名として、前置増幅器やヘッドアンプとも呼ばれます。

プリアンプの目的

プリアンプの主な目的は、微弱な信号を適切なレベルまで増幅することです。特に、マイクロフォンやレコードプレーヤーのカートリッジ、エレキギターなどの出力は、信号レベルやインピーダンスがラインレベルとは大きく異なるため、プリアンプが不可欠となります。プリアンプは、これらの信号をラインレベルまで増幅し、必要に応じてインピーダンス変換を行います。また、オーディオアンプのセパレート構成では、入力側をプリアンプとし、出力側をパワーアンプ（メインアンプ）とします。

音響機器におけるプリアンプの具体的な役割としては、以下のようなものがあります。

信号レベルの増幅: マイクロフォンやレコードプレーヤーからの微弱な信号を、ラインレベルまで増幅します。
インピーダンス変換: 異なるインピーダンスを持つ機器間で信号を適切に伝送するために、インピーダンスを変換します。
音質調整: トーンコントロールやイコライザーを用いて、音質を調整します。
ルーティング: 複数の入力信号を切り替えたり、録音機器へ信号をルーティングしたりします。

プリアンプの構成

プリアンプは、回路の入力段に挟んで使用されますが、必ずしも独立した機器である必要はありません。実際には、メインの機器と同一筐体内や同一基板上に実装されるケースも多く見られます。重要なのは、回路構成上、独立したブロックとして設計されているかどうかです。

プリアンプの種類

プリアンプには、用途に応じて様々な種類があります。

オーディオ用プリアンプ

オーディオ用プリアンプは、音響機器で使用されるプリアンプの総称です。その中でも、以下のような種類があります。

マイクアンプ: マイクロフォンからの微弱な信号を増幅するプリアンプです。マイクアンプには、信号レベルの増幅やインピーダンス変換だけでなく、イコライザー、コンプレッサー、ディエッサー、エキサイター、ノイズゲートなどの機能が搭載されていることもあります。また、真空管を用いたマイクアンプは、独特の音質特性を持つため、半導体アンプでも真空管をエミュレートする機能が搭載されていることがあります。さらに、コンデンサマイクに必要なファンタム電源を内蔵しているものも多くあります。
フォノイコライザーアンプ: レコードプレーヤーのフォノカートリッジからの出力を増幅するプリアンプです。レコードに録音された音声信号は、低音域が減衰されているため、再生時に元の状態に戻すイコライザー機能が必須です。フォノイコライザーアンプは、このイコライザー機能と増幅機能を兼ね備えています。
* コントロールアンプ: オーディオシステムにおいて、音量調整、トーンコントロール、入力切替、ルーティングなどを行うプリアンプです。パワーアンプの前に設置され、システムのコントロールセンターとして機能します。かつては、フォノイコライザーアンプの機能が重視されていましたが、現在では様々な入力を扱うことが出来るようになっています。パワーアンプまで内蔵したものは「プリメインアンプ」と呼ばれます。

無線受信用プリアンプ

無線受信機（トランシーバー、テレビ受像機、ラジオ受信機など）において、アンテナと受信機の間に接続される低雑音増幅器（LNA）です。受信系全体の雑音指数を改善し、受信感度を高めるために使用されます。無線通信や海外放送の受信ではプリアンプと呼ばれることが多いですが、一般的なテレビ放送やラジオ放送の受信では受信ブースターと呼ばれる傾向があります。


プリアンプは、微弱な信号を扱いやすくするための重要な役割を担う電子機器であり、オーディオ機器から無線機器まで幅広く利用されています。

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