プリンス・クリッパー

クリッパー（CLIPPER）について

クリッパーは、日本の自動車メーカーであるプリンス自動車工業が開発した小型・普通トラックです。初代モデルが1958年から1966年まで製造され、その後、日産自動車とプリンス自動車の合併に伴い、日産のディーラー網を通じて販売が継続されました。これにより、クリッパーは多くの車両ラインナップの一部として根付くことになりました。

歴史的背景

クリッパーの初代モデルは、1958年に富士精密工業から「プリンス・キャブオーバートラック」の後継車種としてAQTI-1型が発表されました。このモデルは特にラジエーターグリルがなく、独特のデザインをしたことが特徴です。最初は直列4気筒エンジンを搭載しており、積載量は最大2トンとなっていました。また、ボディ製作は昭和飛行機に委託されていました。

その後、1959年にはAQTI-2型が登場し、エンジン出力が向上しました。1961年には「スーパークリッパー」というモデルも追加され、この場合外観はほとんどクリッパーと似ていましたが、エンジン出力が向上するなど性能が改良されました。さらに1964年にかけて、4灯式ヘッドランプを備えた国産初の中型キャブオーバートラックが開発されるなど、クリッパーは技術革新の一端を担っていました。

次世代モデルの展開

1966年には新たにT65型として2代目クリッパーが登場し、より洗練されたデザインが施されたことが特徴です。このモデルは、日産による合併後も「PRINCE」のロゴを使用していました。エンジンも日産設計へと改良され、パフォーマンスが向上しました。その後も、1973年には型式の変更や内装の改良が施されるなど、製品の細部にわたる更新が行われました。1976年まで生産が続けられました。

さらに進化するクリッパー

1976年にはC340型が登場し、この際には新たに角型の十字グリルが採用されました。また、1979年の改良では昭和54年の排出ガス規制に適合するなど、環境基準への対応も図られました。さらに1980年に施された変更では、新しいエンジンの選択肢や安全面に配慮した改良が加えられましたが、1981年には新型車両の登場によりクリッパーは生産を終了しました。

車名の由来

「クリッパー」という名称は、優れたスピードを誇る馬を指す英語の「clipper」に由来しています。この名称は、車両の性能や魅力を象徴するものとして重んじられています。

現在の展開

2003年には、クリッパーの名称が復活し、三菱自動車工業からOEM供給を受けた軽商用車として新たな注目を集めました。2014年からはスズキによるOEM供給に切り替わり、さらには2024年にはクリッパーEVとして商用電動バンモデルが登場します。これにより、クリッパーは今なお進化を続け、現代のニーズに応じた形で市場に提供されています。

クリッパーは、長い歴史を有するトラックであり、時代とともに進化し続けている重要なモデルと言えます。

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