プリンセサ・デ・アストゥリアス級装甲巡洋艦

プリンセサ・デ・アストゥリアス級装甲巡洋艦

プリンセサ・デ・アストゥリアス級装甲巡洋艦は、スペイン海軍が開発した国産の装甲巡洋艦であり、計3隻が建造されました。これらの艦船は、当時のスペイン海軍の戦略的要請に基づいて設計され、特に植民地防衛に特化した性能を持っています。

1. 装甲巡洋艦の背景

本級は、当時スペイン海軍が計画していた戦艦の建造計画が変更される中で誕生しました。ドイツ帝国の植民地獲得活動が活発化したため、スペインの植民地であるカロリン諸島に対する脅威が増大し、その結果として新たな装甲巡洋艦の建造が急務とされました。この予算は、前弩級戦艦ではなく、本級の建造に転用されました。

2. 船体デザインと形状

本艦は、高い乾舷と平甲板型の船体を持っています。艦首には水面下に衝角が設けられ、艦首甲板上には24cmの主砲が配置されています。司令塔と艦橋、そしてブリッジが両脇にあり、艦体の中央部には2本の煙突が突き出ています。煙突周辺には吸気用の通風筒も設けられています。後部甲板には、もう1基の24cm砲が設置され、副砲として14cm速射砲が両舷に計8基配置されています。これにより、左右方向または前後方向に同時に強力な攻撃を行うことが可能です。

3. 武装の詳細

主砲

本艦の主砲は、「1886年型 24cm（42口径）ライフル砲」で、最大射程は14,000mに達します。また、貫通能力も高く、100mm以上の装甲を持つ艦艇への攻撃も可能です。露砲塔は122mmの厚みを持ち、砲身を格納できる機構が取り入れられています。

副砲・水雷兵装

副砲には「カネー 1884年型 14cm（40口径）速射砲」が用いられ、これは最大15,000mまでの射撃が可能です。また、近距離の攻撃に対しては、5.7cm速射砲や3.7cm機関砲が配置され、対水雷艇迎撃用には45.7cmの魚雷発射管が設けられるなど、多彩な武装を備えています。

4. 防御性能

本艦の防御力は、当時の艦艇としては非常に優れていました。派水量に対して、舷側装甲は300mmにも達し、砲塔も頑丈に設計されています。これにより、戦闘時において生存能力が高められています。

5. 同型艦一覧

• - プリンセサ・デ・アストゥリアス： 1889年に起工し、1903年に就役。1927年に除籍。
• - カルデナル・シスネロス： 1890年に起工し、1903年に就役。1905年に喪失。
• - カタルーニャ： 1890年に起工し、1904年に就役。1929年に除籍。

参考文献

以下の書籍を参考に、さらなる詳細を学ぶことができます。

• - 「Conway All The World's Fightingships 1860-1905」
• - 「Conway All The World's Fightingships 1906-1922」

このように、プリンセサ・デ・アストゥリアス級装甲巡洋艦は、そのデザインと武装において時代の最前線を走る艦艇でした。スペイン海軍の歴史に名を刻んだこの艦級は、特に植民地防衛において重要な役割を果たしました。

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