プルトニウム物語 頼れる仲間プルト君

プルトニウム物語 頼れる仲間プルト君

「プルトニウム物語 頼れる仲間プルト君」は、1993年に動力炉・核燃料開発事業団（動燃、現日本原子力研究開発機構）が制作した広報用ビデオです。原子力発電所のPR施設で公開されていましたが、後に絶版となりました。しかし、その内容は国内外で議論を呼び、今日に至るまで注目を集めています。

ビデオの内容

ビデオは約11分で、実写映像とアニメーションを組み合わせて構成されています。アニメパートでは、「プルト君」というマスコットキャラクターが登場し、プルトニウムの平和利用と安全性を解説します。プルトニウムの歴史や由来に触れつつ、一般の人々が抱く誤解を解くことを目的としています。

ビデオでは、以下の点が強調されています。

プルトニウムは青酸カリのような劇薬ではない
皮膚からの吸収や、水と一緒に飲み込んだ場合でも、ほとんど体外に排出される
胃や腸に入った場合も同様に、大部分が排泄される

ただし、血液中に直接取り込まれた場合や、呼吸によって吸入された場合には、体内に留まるため注意が必要です。また、プルトニウムが原因で癌になったという事例は確認されていません。プルトニウムの危険性が強調されがちなのは、人々の知識不足が原因であるとし、プルトニウムは長期にわたって利用できる「頼れる仲間」であると結論付けています。

反響と批判

ビデオの内容に対し、高速増殖炉「もんじゅ」が立地する福井県の原発反対派住民からは、「プルトニウムは危険な物質であり、安全性を強調しすぎている」との批判が上がりました。動燃広報室は、プルトニウムが飲み込まれてもほとんど排泄されること、排泄されるまでの放射線の影響も少ないことを根拠に、ビデオの内容に自信を示しました。

しかし、当時のアメリカエネルギー省長官から「プルトニウムの危険性を過小評価している」との抗議文が送られるなど、国際的な批判を浴び、ビデオは絶版となりました。その後、改訂版が制作されたと伝えられています。

その後

漫画家のあさりよしとおが、自身の作品『ラジヲマン』でこのビデオをネタにするなど、一部で知られていました。2008年には、北海道放送のテレビ番組で、原子力PR施設における説明の様子が紹介され、再び注目を集めました。

さらに、2011年の福島第一原子力発電所事故後、動画投稿サイトにビデオが掲載されたことで、改めて関心が高まりました。

プルト君

プルト君は、ビデオに登場するマスコットキャラクターで、プルトニウムの元素記号「Pu」をあしらったヘルメットを被った2頭身のキャラクターです。現在も福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の広報施設「アトムプラザ」の公式サイトで使用されています。また、2011年4月頃には、Twitterの非公式botアカウントが登場したり、Tシャツのデザインに採用されたりするなど、広がりを見せています。

関連項目

もんじゅ君
* 大橋弘忠

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