プルート川の戦い

プルート川の戦い

背景

プルート川の戦いは1711年7月にモルダヴィアのプルト川岸で行われた、オスマン帝国とロシア帝国の軍同士の衝突です。この戦闘は大北方戦争の一環として位置付けられており、オスマン帝国軍がピョートル1世指揮下のロシア軍を打ち破りました。この戦いの後、両国はプルト条約を結び、オスマン帝国とスウェーデン、クリミア・ハン国はロシアとの戦争において主要な勝利を収め、この時期の露土戦争が終結しました。

開戦の動機

戦争勃発の背景には、スウェーデン軍とロシア軍の戦闘が伴う複雑な外交状況がありました。1708年、両国はオスマン帝国およびその属国クリミア・ハン国との関係を模索し、スウェーデンのカール12世はロシアへの圧力を強めようとしていました。しかし、その後ロシアがポルタヴァの戦いでスウェーデン軍に勝利を収めると、オスマン帝国側も反ロシアの姿勢を強めるようになりました。これは、オスマン帝国が寡兵のスウェーデン軍を助ける決定を下したことが影響しています。

カール12世がオスマン帝国に亡命した後、彼はサルタン・アフメト3世を説得しロシアへの宣戦布告を行わせました。これを受け、ピョートル1世はオスマン帝国に対抗するための軍事行動を決定しました。

1711年の戦闘

実際の戦闘は、準備不足の状態で開始され、軍の士気や補給体制に問題がありました。ロシア軍はモルダヴィアの反乱を支援し、さらに進軍を重ねるも、食料の不足や連絡の不行き届きが響いたため、戦略は容易ではありませんでした。特に、7月にはスタニレシティでの戦闘があり、ロシア軍はオスマン軍に包囲され、苦境に立たされました。

ロシア軍の別働隊はオスマン軍の供給路を確保しましたが、決定的な勝利を収めることなく、交渉に入らざるを得ませんでした。カール12世がオスマン帝国に戦争を促す中、オスマン側は外交を優先し、7月21日にはプルト条約が締結されました。この条約によってオスマン帝国は初期の意図に反し、速やかに和睦を結ぶことが確定しました。

和睦後の影響

歴史的に見れば、メフメト・パシャがロシアとの停戦を結ぶことになり、その外交的判断は批判を受けることになりました。ピョートル1世が直接指揮を執る中で、もしメフメトがもう少し厳しい条件を提示していたなら、歴史は異なる結果を迎えた可能性があります。

イスタンブールでは勝利の知らせが祝われるものの、戦争志向の者たちからメフメト・パシャへの不満が高まり、彼は結局、職を解任されることになります。カール12世は、その後もオスマン帝国での影響力を維持しようと試みたものの、最終的にはロシアの講和条件を受け入れた後、次第に帰国を余儀なくされました。

この一連の出来事は、オスマン帝国とロシアとの関係に長期的な影響を及ぼし、また、ヨーロッパにおける力の均衡にも大きな変化をもたらしました。

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