プレイング・マンティス作戦

概要

プレイング・マンティス作戦（Operation Praying Mantis）は、1988年4月にイラン・イラク戦争の渦中でアメリカ海軍が実施した軍事行動です。命名はカマキリを意味するもので、イランによる海上の機雷敷設に対する報復として行われました。この作戦は、アメリカ海軍が第二次世界大戦後に行った中で最大規模の水上戦闘でした。

この作戦の引き金となったのは、1988年4月14日にアメリカ海軍のオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート「サミュエル・B・ロバーツ」がペルシア湾で触雷し、重大なダメージを受けた事件でした。この事件で人的損害はなかったものの、アメリカ軍は攻撃を受けた艦艇の修理のためにドバイに入港せざるを得なくなりました。

その後、同じ海域でアメリカ軍はさらに多くの機雷を回収し、そのシリアル番号から、前年に拿捕したイラン海軍艦艇に搭載されていたものであることがわかりました。このことから、アメリカ軍は機雷がイランによって敷設されたと判断し、軍事行動を決定しました。

戦闘の展開

1988年4月18日、アメリカ海軍は空母「エンタープライズ」を中心に展開。艦隊は4つのグループに分かれ、特にBグループとCグループが機雷敷設の拠点として機能していたオイル・プラットフォームを攻撃しました。

Bグループは、ドック型揚陸艦「トレントン」、駆逐艦「メリル」と「リンデ・マコーミック」で構成され、最初にサーサーンのオイル・プラットフォームに攻撃をかけました。警告の後、プラットフォームは抵抗を試みましたが、アメリカ軍によって制圧され、海兵隊が降下し爆薬を仕掛けました。その後の攻撃でプラットフォームは破壊されました。

Cグループは、ミサイル巡洋艦「ウェインライト」と2隻のフリゲートで構成され、シーリーのオイル・プラットフォームに対しても攻撃を展開しました。ここでは特殊部隊であるNavy SEALsが出撃する予定でしたが、艦砲射撃により早々に施設が重度に破壊されたため、投入は見送られました。

イラン側も反撃に出ました。高速武装艇がアメリカ船籍の艦船および他の商船に攻撃を仕掛ける中、アメリカのA-6E攻撃機が誘導を受け、これらの艇に対してクラスター爆弾を投下し、6隻を沈める成果を上げます。

続いて、Cグループはイランのコンバタント-II型ミサイル艇「ジューシャン」に対して攻撃を受けましたが、アメリカ軍の艦艇の警告を受けて発射されたハープーンミサイルは回避され、防御体制を整えたアメリカ軍の反撃により「ジューシャン」は大破し、その後艦砲で沈められました。これにより、アメリカ軍は艦対空ミサイルを水上艦艇に使用した最初の例となりました。

その後もイラン海軍は反撃を続けましたが、アメリカ軍は着実に損害を与え、最終的にイランは2隻の艦船と2基のオイル・プラットフォームを失いました。アメリカ軍の損害は、ヘリコプターが墜落したのみで、目立った被害はありませんでした。

結果

この戦闘の結果、イラン海軍は深刻な損害を受け、一時的に海上の戦力を失いました。アメリカ側は戦闘目的を達成し、それ以上の拡大を避けるために追撃を中止しました。最終的にイランのフリゲート「サバラーン」は修理され、1989年に復帰します。プレイング・マンティス作戦は、冷戦時代の国際政治における重要な出来事となりました。

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