プレオン

プレオンとは

プレオン（英: preon）とは、素粒子物理学において、クォークやレプトンといった、より基本的な粒子を構成すると考えられている、仮想的な点状の粒子です。1974年にジョゲシュ・パティとアブドゥッサラームによって提唱されました。1980年代に関心が高まりましたが、標準模型の成功により、現在では関心は薄れています。

背景

標準模型は、1970年代に発展した素粒子物理学の理論であり、実験で観測された様々な粒子を分類し、その性質を記述することに成功しました。しかし、標準模型には未解決の問題も存在します。

標準模型では、物質の基本的な構成要素は、クォークとレプトンです。クォークには6種類、レプトンにも6種類あり、それぞれが異なる性質を持っています。また、これらの粒子は、光子、W・Zボソン、グルーオンなどのボソンと相互作用します。

標準模型は、これらの粒子の質量や相互作用を記述できますが、重力子の組み込みや、粒子の質量の起源、宇宙の物質と反物質の不均衡など、未解決の問題も抱えています。

プレオン理論研究の動機

プレオン理論は、標準模型が持つこれらの問題点を解決し、より基本的なレベルで自然を理解しようとする試みです。具体的には、以下のような動機があります。

基本粒子の削減: 標準模型には多数の基本粒子が存在しますが、プレオン理論では、より少数のプレオンからこれらの粒子を構成することで、理論の簡素化を目指します。
フェルミオンの世代: 標準模型には3つの世代のフェルミオンが存在しますが、その理由をプレオンの構成から説明しようとします。
パラメータの計算: 標準模型では実験的に決定する必要があるパラメータを、プレオン理論によって理論的に計算することを目指します。
質量の起源: 粒子の質量の起源を、ヒッグス機構とは異なるメカニズムで説明しようとします。
ニュートリノ振動: ニュートリノ振動と質量を説明します。
暗黒物質の候補: 冷たい暗黒物質の候補を予測します。

歴史

プレオンのアイデアは、1970年代から様々な物理学者によって研究されてきました。prequark、subquark、maonなど、様々な名前が提案されましたが、プレオンが最も一般的な名称となっています。

多くのプレオンモデルが提案されていますが、いずれも標準模型を完全に置き換えるには至っていません。

プレオン理論への反論

プレオン理論には、以下のような反論があります。

質量パラドックス: プレオンがクォークやレプトンよりも小さい場合、不確定性原理から、プレオンの運動量は非常に大きくなるはずです。しかし、クォークやレプトンの質量はそれほど大きくありません。この矛盾をどのように説明するかが課題となります。
トホーフトのカイラルアノマリー一致の制限: プレオン理論は、カイラリティとトホーフートのアノマリーに関する制約を満たす必要があります。
* 実験による反証の可能性: プレオン理論は、標準模型とは異なる予言をする可能性があります。これらの予言が実験的に否定された場合、プレオン理論は反証されることになります。

まとめ

プレオン理論は、標準模型を超える理論として、様々な可能性を秘めていますが、まだ実験的な証拠はありません。今後の研究によって、プレオンの存在が明らかになるか、あるいは別の理論が台頭するのか、注目されます。

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