プレシェヴォ・メドヴェジャ・ブヤノヴァツ解放軍

プレシェヴォ・メドヴェジャ・ブヤノヴァツ解放軍（UÇPMB）とは

プレシェヴォ・メドヴェジャ・ブヤノヴァツ解放軍（アルバニア語: Ushtria Çlirimtare e Preshevës, Medvegjës dhe Bujanocit; UÇPMB）は、20世紀末から21世紀初頭にかけて活動した、セルビア共和国からの分離独立を目指すアルバニア人ゲリラ組織です。

設立の背景と目的

UÇPMBは、プレシェヴォ、ブヤノヴァツ、メドヴェジャという、コソボに隣接するセルビア南部の3つの自治体を、セルビアから分離し、将来的に独立国コソボへと統合することを目的としていました。これらの地域は、セルビア国内でもアルバニア人の住民が多く居住する地域でした。

UÇPMBの制服、紋章、行動、戦略は、1999年に解体されたコソボ解放軍（UÇK）と酷似しており、その影響下にあったことがうかがえます。UÇPMBは、1999年から2001年までの期間に活動を展開しました。

活動の経緯

1999年のコソボ紛争終結後、コソボは国際連合の統治下に置かれました。コソボとセルビア本国の間には、幅5キロメートルの地上安全地帯（GSZ）が設けられ、ユーゴスラビア連邦軍の立ち入りが制限されました。しかし、この安全地帯にはアルバニア人の村が含まれる一方、プレシェヴォは含まれていませんでした。

コソボ解放軍の元メンバーたちは、この安全地帯に拠点を築き、セルビア警察に対する待ち伏せ攻撃を繰り返しました。攻撃はセルビア人だけでなく、コソボ解放軍と対立するアルバニア人政治家にも向けられ、暗殺事件も発生しました。

1999年6月から2000年11月にかけて、294件もの攻撃が記録され、その多くはブヤノヴァツで発生しました。これらの攻撃により、多数の死傷者が出ています。UÇPMBは、アサルトライフル、機関銃、迫撃砲のほか、RPG、手榴弾、対戦車地雷、対人地雷といった重火器も使用しました。

NATOの介入と組織の解体

地域の情勢が統制不能となったことを受け、NATOは2001年5月、ユーゴスラビア連邦軍に対し、地上安全地帯への再進駐を認めました。同時に、UÇPMBに対しては、KFOR（コソボ治安維持部隊）への投降を呼びかけました。KFORは、投降した成員から武器を回収し、名前を記録した後、釈放することを約束しました。

この措置により、450人以上のUÇPMBメンバーがKFORに投降し、釈放されました。中には、UÇPMBの指揮官であったシェフケト・ムスリウも含まれていました。

UÇPMBのその後

UÇPMBは、NATOの介入とKFORによる投降呼びかけにより、組織としての活動を停止しました。しかし、UÇPMBが目指したセルビア南部アルバニア人地域の地位をめぐる問題は、その後もくすぶり続けています。

関連事項

プレシェヴォ渓谷危機
大アルバニア
コソボ解放軍（UÇK）
民族解放軍（UÇK-M）
チャメリア解放軍（UÇÇ）
アルバニア民族軍（AKSH）

外部リンク

www.UN.org - Map of the area
[1] 1/3/2001, El Pais, "Una nueva guerrilla reta a Serbia."

もう一度検索