プレストレスト・コンクリート橋

プレストレスト・コンクリート橋とは

プレストレスト・コンクリート橋（PC橋）は、プレストレスト・コンクリート（PC）という特殊なコンクリート材を用いた橋梁です。PCは、あらかじめPC鋼材によって圧縮力を加えられたコンクリートであり、これにより通常の鉄筋コンクリートよりも高い強度と耐久性を実現しています。PC橋は、その優れた性能から、現代の橋梁建設において広く採用されており、国内の新設コンクリート橋のほとんどがこのタイプです。

PC橋の概要

PC橋は、PC鋼材を使用することで、鉄筋コンクリート橋よりも大きな荷重に耐えることができます。これにより、支間長（スパン）を長くすることが可能になり、より大規模な橋梁建設に適しています。また、PC橋は鉄筋コンクリート橋と比較して、より高強度のコンクリートを使用します。

PC橋の建設には、プレテンション方式とポストテンション方式の2つの主要な製造手法があります。

プレテンション方式

プレテンション方式は、コンクリートを打設する前にPC鋼材を緊張させる方法です。この方式では、工場で製作された桁を現場に搬入し、クレーンなどで架設することが一般的です。プレテンション方式は、桁の品質が安定しやすく、比較的短径間の橋梁に多く採用されます。

ポストテンション方式

ポストテンション方式は、コンクリートを打設した後にPC鋼材を緊張させる方法です。一般的には、現場で桁を製作し、架設前に緊張を与えます。近年では、工場で製作したセグメントを現場で連結し、PC鋼材で緊張を与える工法（PCコンポ橋）も採用されています。

PC橋の一般的な構造

PC橋には、さまざまな断面形状の桁が用いられます。

I桁: 断面がI字型をしています。近年ではあまり使用されません。
T桁: 断面がT字型をしています。
ホロー桁: 内部が空洞になっている桁です。プレテンション方式とポストテンション方式の両方で用いられます。ポストテンション方式の場合、中空床版と呼ばれることが多いです。
中空床版桁: 梁を持たない床版形式の橋梁で、軽量化のためにドラム缶のような中空材が埋め込まれています。中規模橋梁で一般的かつ経済的な構造です。
箱桁: 断面が箱型の桁です。大規模橋梁に採用されることが多く、内部に大きな空洞があります。

PC橋の架設方法

PC橋の架設方法には、以下の3つの主要な方法があります。

プレキャスト方式: 工場で製作した桁を現場に運搬し、架設する方法です。クレーンやエレクションガーダーが使用されます。
支保工方式: 架設場所に仮の足場を設け、その上で桁を製作する方法です。ポストテンション方式で用いられることが多いです。
張り出し架設方式: 橋脚から左右にブロック状の桁を伸ばしながら架設する方法です。大規模橋梁で採用され、地上状況に左右されずに建設できます。

特殊なPC橋

PC橋には、さらに特殊な構造の橋梁も存在します。

PCラーメン橋: 橋脚と橋体が一体化した構造で、支承がないためコストを削減できます。
PCアーチ橋: コンクリートアーチ構造の橋梁で、景観性に優れています。
PC斜張橋: 塔から斜めにケーブルを張った構造で、モニュメントとしても製作されます。
外ケーブル方式: PC鋼材がコンクリートの外部に露出した構造です。
エクストラドーズド橋: 外ケーブルを主桁の外に出した構造で、斜張橋に似た外観を持ちながら桁橋に近い挙動をします。
波形鋼板ウェブ橋: 箱桁のウェブ部材に波形鋼板を使用し、軽量化を図った構造です。

まとめ

プレストレスト・コンクリート橋は、その優れた強度と耐久性から、現代の橋梁建設に欠かせない技術です。さまざまな構造と架設方法があり、それぞれの特徴を理解することで、より適切な橋梁建設が可能になります。PC橋の技術は日々進化しており、今後もさらに発展していくことが期待されます。

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