プレスパ湖

プレスパ湖：国境を越えた自然の宝庫

プレスパ湖は、バルカン半島に位置し、ギリシャ、アルバニア、北マケドニアの三国に跨る2つの淡水湖の総称です。大プレスパ湖と小プレスパ湖からなり、その面積は各国に分かれています。

大プレスパ湖：北マケドニア（190平方キロメートル）、ギリシャ（84.8平方キロメートル）、アルバニア（38.8平方キロメートル）
小プレスパ湖：ギリシャ（流域面積138平方キロメートル、面積43.5平方キロメートル）、アルバニア（流域面積51平方キロメートル、面積3.9平方キロメートル）

海抜853メートルに位置し、地殻変動によって形成された湖としてはバルカン半島で最も高い場所にあります。

歴史と文化

10世紀には、ブルガリア皇帝サムイルが小プレスパ湖のギリシャ側にあるアイオス・アキリオス島に砦と聖アキリウス教会を建設しました。大プレスパ湖には、北マケドニア側のゴレム・グラッド島（「大きな町」の意味）とアルバニア側のマリグラッド島（「小さな町」の意味）があり、マリグラッド島には14世紀に聖ペトルの修道院が建てられました。現在はいずれも無人島となっています。

地理的特徴

湖の西部にはサタ山がそびえ立っています。大プレスパ湖の西10kmに位置するオフリド湖とは標高差が150mもあります。そのため、大プレスパ湖から流れ出た水は、カルスト地形の地中を通り、湧水となってオフリド湖へと流れ込みます。

環境保護の取り組み

プレスパ湖周辺は、豊かな生態系を誇ります。小プレスパ湖とその周辺には、水生植物の群落、ヨシ原、草地が広がり、湖の周辺にはオリエンタルシデの落葉樹林、ビャクシン属の低木林、ギリシャビャクシンの常緑針葉樹林が見られます。ニシハイイロペリカン、モモイロペリカン、コビトウなどの260種以上の鳥類が生息しており、その多様な生態系を守るため、2000年には国境を越えた自然公園が設立され、各国で計4つの国立公園が設けられました。また、3カ国の3つの水域は、ラムサール条約湿地にも登録されています。

観光

プレスパ湖のギリシャ側は長年軍事機密区域に指定されていたため、人口が希薄でしたが、近年は観光業に力を入れています。湖畔の美しい景色や豊かな自然を満喫できる観光地として注目されています。

湖畔の町

沿岸で最大の町は北マケドニアのレセンで、湖畔にはエゼラニなどの村があります。これらの町や村は、プレスパ湖を訪れる観光客にとって重要な拠点となっています。

プレスパ湖は、その美しい景観、豊かな生態系、そして歴史的な背景から、バルカン半島における重要な自然と文化の遺産です。国境を越えた協力体制のもと、その保護と持続可能な開発が進められています。

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