モモイロペリカン

モモイロペリカン (Pelecanus onocrotalus)

モモイロペリカンは、ペリカン目ペリカン科ペリカン属に分類される大型の鳥類です。その名の由来は、繁殖期に体色が美しい桃色に変化することによります。通常時はほぼ白色の体色をしており、英名では「White pelican」と呼ばれています。

分布

モモイロペリカンは、ヨーロッパ南東部から中央アジア（黒海、カスピ海、アラル海沿岸など）にかけての地域と、アフリカ大陸で繁殖します。繁殖地は局地的で、セルビアやモンテネグロでは絶滅したと考えられており、ハンガリーでもかつて絶滅しました。冬季になると、アフリカ中部から南部、パキスタン、インド、ベトナム南部などへ渡り越冬します。

日本では、迷鳥として沖縄県で数例の観察記録があります。また、各地の飼育施設から逃げ出した個体が観察されることもあります。

形態

モモイロペリカンの体長は約160cm、翼を広げると約280cmにも達します。体全体はややピンク色がかった白色で、目の周囲の皮膚はピンク色に見えます。繁殖期には、全身が鮮やかな橙色がかったピンク色に変化します。翼の初列風切と次列風切は黒色で、足もピンク色です。

生態

モモイロペリカンは、湿地や湖沼などの水辺に群れで生息します。魚を捕食する際には、5-10羽程度の群れで魚の群れを追い込み、逃げ道を塞いでから一斉に喉の袋で掬い上げるという独特な行動が見られます。30cm以下の魚であれば、海水魚、淡水魚を問わず捕食します。まれにエビなどの甲殻類も捕食します。また、鳥を食べるという報告もあり、BBCのドキュメンタリー番組「Life」によると、南アフリカ沖のダッセン島では、繁殖期のモモイロペリカンがケープシロカツオドリの雛を丸飲みにして捕食し、自分の雛に与える様子が観察されています。

繁殖は卵生で、コロニーを形成し、地上に巣を作ります。

出典

桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年
真木広造他　『日本の野鳥590』、平凡社、2000年

関連項目

* カッタくん

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