プレパラトリー・スクール (イギリス)

イギリスのプレップスクール：パブリックスクール進学への架け橋

イギリスのプレパラトリー・スクール、略してプレップスクールは、8歳から13歳の子どもたちを対象とした私立学校です。多くの場合、名門パブリックスクールへの進学準備教育を提供しており、イギリス教育システムにおいて重要な役割を担っています。

歴史と発展

プレップスクールの起源は19世紀初頭のイングランドとウェールズに遡ります。イートン・カレッジやウィンチェスター・カレッジといった伝統的なパブリックスクールへの入学準備を目的としたボーディングスクールとして設立されました。大英帝国の拡大に伴い、海外赴任するイギリス人が増加したことで、プレップスクールの需要も高まり、生徒数も増加の一途を辿りました。現在では、イギリス国内だけでなく、世界各国にプレップスクールが設立され、その存在感を増しています。

学校の種類と特徴

プレップスクールは、男子校、女子校、共学校と様々な形態があります。また、デイスクール（日帰り通学）やボーディングスクール（寄宿制）、ウィークリーボーディング（週単位の寄宿）、フレックスボーディング（柔軟な寄宿システム）など、子どもたちのニーズに合わせた多様な運営形態をとっています。

入学年齢は、男子校の場合、多くが8歳から13歳です。特に、多くのインデペンデント・スクールへの進学に必要となる共通入学試験対策に重点を置いています。7歳から8歳の子どもを対象とした学校は、「プレ・プレップスクール」と呼ばれます。一方、女子校の場合、公立学校に合わせた年齢設定がされており、4歳または5歳から始まり、11歳（共学校の場合は13歳）まで教育を行います。近年では共学校化が進む傾向にあり、男女間の区別は曖昧になりつつあります。

私立準備学校合同協会(IAPS)

私立準備学校合同協会(Incorporated Association of Preparatory Schools, IAPS)は、イギリスと海外の500以上のプレップスクールを会員とする団体です。13万人以上の生徒がIAPS加盟校に在籍しており、イギリス私立教育における大きな影響力を持っています。IAPSは、私立学校協会(Independent Schools Council, ISC)に加盟する7つの団体のうちの1つです。

多様なプレップスクール

IAPS加盟校は、規模や教育方針、運営形態などが多様性に富んでいます。大きく分けると、以下のカテゴリーに分類できます。

完全独立プレップスクール: 慈善目的または事業目的で運営されている学校
年長スクールにリンクされた年少スクール: 特定のパブリックスクールと連携している学校
コールスクール: 聖堂や修道会に付属し、少年聖歌隊員のための教育を行う学校。聖歌隊員以外も受け入れている場合が多いです。
特別な教育指針や施設を提供するスクール: 特殊な教育ニーズを持つ子どもたちのための学校
* 特定の宗教団体に属するスクール: 特定の宗教に基づいた教育を行う学校

プレップスクールの役割

プレップスクールは、単にパブリックスクールへの進学準備をするだけでなく、子どもたちの個性を伸ばし、将来の社会で活躍できる人材育成を目指しています。充実した教育環境と経験を通して、子どもたちの知的好奇心や創造性を育み、自信と自立心を養う役割を担っています。

イギリスの教育システムにおいて、プレップスクールは重要な役割を担っており、その存在は今後もますます重要性を増していくと予想されます。

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