パブリックスクール

パブリックスクール: 英国の特権学校

パブリックスクールとは、主にイギリスのイングランドとウェールズに位置する、中等教育機関であり、特にエリート教育を提供する学校を指します。これらの学校は、過去の歴史的背景からゆとりある家庭の子どもたちが通う場所として知られ、進学先のオックスフォードやケンブリッジといったトップ大学を目指すことが一般的です。そのため、パブリックスクール入学を志望する生徒は、非常に高い学費を支払うことが求められ、他方では奨学金制度によって入学を果たす子どももいます。

歴史的な経緯

パブリックスクールの起源は中世までさかのぼります。当初の学校は地元の教会やギルドに付属し、僧侶や職人の教育を目的としていました。この頃の入学資格は、出身地や親の職業、宗教や身分などによって厳しく制限されていました。それに対し、貴族層の子弟は在宅で個人教授を受けることが一般的でした。しかし、時代が進むにつれ、親の出自や身分に関係なく教育を受ける必要性が高まります。この流れの中で、ウィンチェスター・カレッジやイートン・カレッジ、ラグビースクールなどが設立され、一般に開かれた寄宿制の学校が増えていきました。このような学校が、現在のパブリックスクールの礎となりました。

改革の際に重要な役割を果たした人物には、ラグビー校の校長トーマス・アーノルドや、アウンドル校のF・W・サンダーソンが含まれます。彼らは道徳教育や教育環境の向上に尽力し、パブリックスクールの地位を確立させたのです。現在、これらの学校はスコットランドやアイルランドも含めて多くの教育機関に影響を与えています。なお、イギリスでは民間の学校は一般的に「インデペンデント・スクール」と呼ばれ、パブリックスクールの下に位置付けられています。

パブリックスクールの変遷

名門校として知られる「ザ・ナイン」、すなわちウェストミンスター・スクール、ウィンチェスター・カレッジ、イートン・カレッジ、ハーロー校、ラグビースクール、マーチャント・テイラーズ・スクール、セント・ポールズ・スクール、シュルーズベリー校、チャーターハウス・スクールが存在します。近年、新しい世代の学校としてゴードンストウンやアトランティック校も登場し、これらの学校は男女共学に移行しています。

さらに、パブリックスクールの中には、全寮制の男性校として設立されたものが多くありますが、近年では女子生徒の受け入れを進める動きも見られます。

最も歴史が古いウィンチェスター・カレッジは1387年に設立され、イギリスの教育史の中で非常に重要な地位を占めています。また、パブリックスクールの中で最も古いとされるキングス・スクールは西暦597年にアウグスティヌスにより創立され、現存する世界最古の学校として名を馳せています。

現代のパブリックスクール

パブリックスクールは、近年でもその存在感を示していますが、学費の高騰といった批判も多く寄せられています。特に、裕福な家庭向けの教育機関としての印象が強く、経済的に恵まれない子供たちへの奨学金制度の強化が求められています。これにより、経済的背景に関わらず多様な学習環境を提供しようとする努力がなされています。最終的には、学校の社会的責任と教育の公平性が重要な課題となっています。これらの動きは、今後のイギリスの教育システムに大きく影響を与えることが期待されています。

このように、パブリックスクールはイギリスの教育システムの中で特異な位置を占めており、その歴史、文化、教育理念は今もなお注目されています。

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