プログレスM-02M

プログレスM-02M

プログレスM-02M（NASA呼称：Progress 33、33P）は、ロシア連邦宇宙局（Roscosmos）によって開発・運用された無人宇宙補給船であり、国際宇宙ステーション（ISS）への定期的な物資輸送ミッションに用いられました。本機は、ソ連時代から改良が続けられてきたプログレス補給船の発展型であるプログレス-M（形式番号11F615A60）シリーズとしては2番目の飛行ミッションを担った機体であり、製造シリアル番号は402番でした。

ミッション概要

打ち上げ

プログレスM-02Mを搭載したソユーズ-Uロケットは、2009年5月7日、協定世界時（UTC）18時37分（GMT表記）に、中央アジア・カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にある1番射点から力強く打ち上げられました。打ち上げは計画通りに進み、プログレスM-02Mは無事所定の軌道に投入されました。

ISSへのドッキング

地球周回軌道上での数日間の軌道調整とランデブーマヌーバを経て、プログレスM-02Mは打ち上げから約5日後の2009年5月12日、協定世界時（UTC）19時24分にISSへ無事接近し、ロシア区画に接続されたピアースモジュール（ドッキング室）に自動ドッキングしました。これにより、ISS滞在中のクルーへの食料、水、空気、燃料、科学実験装置、スペア部品など、様々な重要物資の補給が実施されました。

ドッキング解除後のミッションと特徴

ISSとの結合状態は、およそ1ヶ月半後の6月30日まで維持され、その間に物資の移送や燃料の補給などが行われました。ドッキング解除後、プログレスM-02Mはステーションから一時的に離脱し、その後の独立飛行期間中にいくつかの科学実験を実施しました。

本ミッションで特筆されるのは、ISSから発生した廃棄物を搭載して地球へ持ち帰る役割を担った点です。これはプログレス補給船としては初めての試みであり、使用済みの宇宙服（オーランM）2着を含む、ISS内で不要となった様々な物品が積み込まれました。これにより、ISS内のスペース確保と清潔さの維持に貢献しました。

ドッキングシステム試験

また、プログレスM-02Mミッションの重要な目的の一つとして、将来ISSに結合される予定だったロシアの新モジュール（小型研究モジュール2、MRM-2）の到着に備えたドッキングシステムの軌道上試験が実施されました。これは、プログレス補給船を用いて行われた同様の近接ランデブー試験としては2度目にあたります。

この試験は、ISSから一時的に離脱した後の2009年6月12日に行われました。プログレスM-02Mは、ISSのサービスモジュール「ズヴェズダ」のゼニス（天頂側）ポートから約10〜12メートルの距離まで自動制御システムを用いて安全に接近し、協定世界時（UTC）17時15分（GMT表記）に最接近を果たしました。この近接ランデブー試験は、今後のモジュール結合の成功に向けた重要なデータ取得とシステムの検証を目的としており、無事成功裏に完了しました。この試験が終了した後、本機は改めてISSから離脱し、軌道離脱に向けた最終段階へと移行しました。

ミッション終了

約2ヶ月間の宇宙でのミッションを終えたプログレスM-02Mは、2009年7月13日、協定世界時（UTC）15時43分（GMT表記）に軌道離脱マヌーバを開始しました。地球の大気圏に再突入する際に発生する空力加熱により、機体の大部分は燃え尽き、完全に破壊されました。燃え尽きずに地表に到達する可能性のある残骸は、同日16時28分47秒に南太平洋上の、船舶や航空機の航行がほとんどない予定落下区域（「スペースクラフト墓場」と呼ばれる場所）に落下しました。

プログレスM-02Mは、ISSへの確実な補給、将来のモジュール結合に向けた重要な技術試験、そして廃棄物輸送という新たな役割を果たすことで、ISSの継続的な運用と発展に貢献したミッションでした。

関連項目

2009年の宇宙飛行
プログレス補給船の飛行一覧
* 国際宇宙ステーションへの無人宇宙飛行の一覧

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