プログレスM-05M

プログレスM-05Mは、[国際宇宙ステーション]へ物資を輸送するためにロシア連邦宇宙局が運用した無人補給船です。NASAではProgress 37Pとも呼ばれていました。2010年4月下旬に打ち上げられ、ISSクルー向けの食料や機器といった通常の補給品に加え、乗員の士気を高めるための菓子類、書籍、映像作品などの特別な慰安物資も搭載していた点が特徴です。

この補給船の打ち上げに向けた準備は、まず2010年3月19日に、列車でのバイコヌール宇宙基地への輸送から始まりました。基地到着後、即座に電子部品とクルス自動ドッキングシステムの初期点検が開始され、これが3月29日に完了しました。続いて、4月1日から3日にかけて、音響室を用いた各種試験が実施されました。その後、真空チャンバーを用いた漏出検査が行われ、船体の気密性が確認されました。4月19日にはミッションに必要な燃料の注入が行われ、その2日後の21日には打ち上げアダプタへの接続作業が完了しました。ペイロードフェアリング（ロケットの先端部）に収容される前の最終検査は、4月22日に実施されました。その後、4月24日には、組み立て・格納施設(MIK)へ運ばれ、そこでソユーズ-Uロケットへの搭載が行われました。最終的に、4月26日に打ち上げ台へ移動され、発射に備えました。

プログレスM-05Mは、準備期間を経て、2010年4月28日17時15分(UTC)に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地1/5発射台から、ソユーズ-Uロケットによって無事打ち上げられました。

打ち上げから3日間の軌道飛行の後、プログレスM-05MはISSに接近しました。2010年5月1日18時30分(UTC)に、ISSのピアースモジュールへのドッキングを試みました。しかし、ISSから数キロメートルまで接近した段階で、通常使用されるクルス自動ドッキングシステムに異常が発生しました。このため、ISSのフライトエンジニアであったオレッグ・コトフ宇宙飛行士が、バックアップシステムであるTORU手動ドッキングシステムを使用して遠隔操作でのドッキングを行うことになりました。この手動によるランデブーとドッキング操作は、プログレス補給船の手動制御飛行としては当時最長記録となりました。なお、プログレスM-05Mの到着に先立ち、ドッキングポートを確保するため、2010年4月22日には、先行してドッキングしていたプログレスM-03Mがピアースから離脱しています。

ISSでの補給任務を終えたプログレスM-05Mのドッキング解除準備は、第25次長期滞在クルーの一員であったフョードル・ユールチキン宇宙飛行士によって進められました。10月22日には、ステーションと補給船間のハッチが閉鎖され、漏出検査が実施されるなど、分離に向けた準備が完了しました。プログレスM-05Mは、最終的に2010年10月25日14時25分(UTC)に、ISSのピアースモジュールから無事ドッキングを解除し、ISSから離脱しました。このドッキング解除によって、後続のプログレスM-08Mがドッキングするためのポートが確保されました。プログレスM-08Mは同年10月27日にバイコヌールから打ち上げられ、10月30日にピアースにドッキングを完了しています。

ISSから離脱した後、プログレスM-05Mはより低い軌道へと移動し、ISSから安全な距離を保ちながら約3週間にわたり地球を周回しました。この自動飛行期間中、ロシアの科学者たちは地球物理学に関する様々な実験を実施することができました。運用最終段階に入り、2010年11月15日、プログレスM-05Mは軌道から離脱する命令を受けました。オンボードコンピューターによって制御されたエンジンは、8時50分(UTC)から逆噴射を開始し、メインエンジンが186.2秒間作動することで、約89.7メートル毎秒の減速（ブレーキ噴射）が行われました。これにより、補給船は地球大気圏に再突入し、燃え尽きました。大気圏突入時に燃え残った破片は、同日9時35分(UTC)頃、南緯47度57分、西経220度44分（東経139度16分に相当）の南太平洋上、ニュージーランドの東方およそ1000キロメートルの海域に落下したと推定されています。

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