プログレスM-1

プログレスM-1

プログレスM-1は、ソビエト連邦（現ロシア）が運用した無人宇宙補給船の一つです。これは、プログレス補給船の中でも改良型の「プログレスM」シリーズにおける記念すべき最初の機体であり、シリアル番号は201が与えられています。主な目的は、当時地球軌道上を周回していた宇宙ステーション「ミール」へ、長期滞在クルーが必要とする物資や燃料を届けることでした。

打ち上げと軌道投入

本機は、グリニッジ標準時（GMT）1989年8月23日3時9分32秒に、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の第1/第5発射場から、信頼性の高いソユーズ-U2ロケットに搭載されて宇宙へと打ち上げられました。ロケットは順調に飛行し、プログレスM-1は所定の軌道に投入されました。

ミールへのドッキング

打ち上げから約2日後の8月25日5時19分2秒、プログレスM-1はミール宇宙ステーションへのランデブーとドッキングを成功させました。接続先は、ミールの中核部分であるコアモジュールの前方にあるポートでした。ドッキングが行われた際、ミールは約376kmから393kmの高度を飛行していました。

本機には、当時計画されていた第5次長期滞在（EO-5）ミッションに携わるクルーのための重要な物資が満載されていました。具体的には、

食料品
飲料水
呼吸用の酸素
各種科学研究に使用する装置や機材
* ミールの軌道維持や姿勢制御に必要な推進剤（燃料）

などが搭載されていました。興味深い点として、プログレスM-1がミールにドッキングした時点では、ステーション内にクルーは滞在しておらず無人状態でした。EO-5クルーがソユーズ宇宙船でミールに到着し、物資の搬入を開始するのは、プログレスM-1のドッキングからおよそ2週間後のことになります。

ミッションの完了と廃棄

プログレスM-1は、ミールに約3ヶ月間接続され、補給任務を遂行しました。搭載されていた物資はミールへ移送され、不要になった機材や廃棄物はプログレス内部に搭載されました。

ミールにおける役割を終えたプログレスM-1は、新しいモジュールであるクバント2の接続に備えるため、12月1日9時2分3秒にミールからドッキングを解除しました。

ドッキング解除から短時間後の同日10時32分0秒、プログレスM-1は軌道離脱のための噴射を行い、地球の大気圏へと誘導されました。機体は太平洋上空の指定された安全なエリアで大気圏に再突入し、その際に発生する断熱圧縮や空力加熱によって大部分が燃え尽きました。完全に燃え尽きなかった機体の一部は、およそ11時21分頃に予測された海域へ落下し、プログレスM-1のミッションは全て完了しました。

プログレスM-1の成功は、その後のプログレスMシリーズによるミール、そして後の国際宇宙ステーション（ISS）への継続的な補給活動の礎となりました。

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