プログレスM-10

プログレスM-10は、ソビエト連邦のプログレス補給船シリーズの一機として、1991年に軌道上のミール宇宙ステーションへ必要な物資を届けるために打ち上げられました。これは、これまでにミールを訪れたプログレス補給船の中でも28番目に位置する機体です。プログレス-M型（正式名称11F615A55型）に属し、シリアル番号211として製造されました。

このミッションでプログレスM-10に搭載されたのは、ミールに長期滞在するEO-10クルーのための食料、飲料水、生命維持に必要な酸素といった基本的な生活物資のほか、軌道上での科学実験を進めるための研究用品、そしてミール自体の軌道を維持したり、位置を調整したりするための燃料など多岐にわたります。さらに、地上へ回収する必要のある装置や科学試料などを持ち帰るための小型カプセル、VBKラドゥガも積まれていました。

プログレスM-10の打ち上げは、1991年10月17日、協定世界時午前0時5分25秒に、中央アジアにあるバイコヌール宇宙基地の1番発射台（または5番発射台）から、ソユーズ-U2ロケットによって実施されました。順調に軌道に乗った後、ミールとのドッキングを試みます。しかし、最初の試みでは、ミールから約150メートルまで接近したところで、プログレス側の搭載コンピューターが異常を検知し、安全のためドッキングが自動的に中止されました。宇宙空間での飛行を続けながら、次の機会を待つことになります。打ち上げから4日後の10月21日、協定世界時午前3時40分50秒に、2度目のドッキング試行が見事成功し、プログレスM-10はミール宇宙ステーションのコアモジュールの前方にあるポートに無事結合しました。

プログレスM-10がミールにドッキングしていた約91日間の期間中、ミール宇宙ステーションは地球の上空およそ376キロメートルから377キロメートルの高度を、軌道傾斜角51.6度で周回していました。この時期は歴史的な転換点とも重なります。プログレスM-10がソビエト連邦によって打ち上げられた数ヶ月後の1991年12月には、ソビエト連邦が崩壊を迎えるという大きな出来事がありました。プログレスM-10を含む旧ソ連の宇宙開発に関わる多くの資産や計画は、その後ロシア連邦に引き継がれることになります。

ミールでの役割を終えたプログレスM-10は、1992年1月20日、協定世界時午前7時13分44秒にミールからドッキングを解除されました。その後、軌道を離脱するための操作が行われ、数時間後には地球の大気圏に再突入し、大気との摩擦熱によって燃え尽き、その残骸は太平洋上の予測された海域に落下しました。一方で、搭載されていたVBKラドゥガカプセルは、本体から分離された後、安全に降下し、同日協定世界時午前12時3分30秒に地上へ着陸し、回収されました。

プログレスM-10のミッションは、ソビエト連邦が終焉を迎える激動の時期に、宇宙ステーションへの安定した補給を継続するという重要な役割を果たしました。これは、1991年や1992年といった年の宇宙飛行の歴史、そしてミール宇宙ステーションへの無人補給飛行の一覧を語る上で、欠かせない一章となっています。

関連事項

1991年の宇宙飛行
1992年の宇宙飛行
ミールへの無人宇宙飛行
プログレス補給船
ソビエト連邦の崩壊
ロシア連邦宇宙局

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