プログレスM-14M

プログレスM-14M

プログレスM-14M（ロシア語: Прогресс М-14М）は、ロシア連邦宇宙局が運用した無人宇宙補給船プログレスシリーズの一機です。2012年、国際宇宙ステーション（ISS）への物資輸送という重要な任務を担い、宇宙へと送り出されました。この機体は、改良型プログレス-M（11F615A60）の14番目に当たり、製造番号は414が割り当てられていました。NASAでは、この補給船をプログレス46、あるいは46Pと呼称しています。

運用

プログレスM-14Mの打ち上げは、2012年1月25日協定世界時（UTC）23時6分に行われました。カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の1番発射台（サイト1/5）から、信頼性の高いソユーズ-Uロケットによって宇宙へと送り出されました。

この打ち上げに先立ち、プログレスM-14M補給船は射点31で燃料を充填された後、ロケットの第3段とフェアリングとの結合のため施設254へ移送されました。さらに、1月23日には施設112にてロケットの下段部分と統合され、打ち上げ前日の1月24日UTC午前1時には最終的な発射台へと移送・起立され、万全の準備が整えられました。

ソユーズ-Uからの分離は打ち上げから約529秒後に行われ、プログレスM-14Mは当初、近点193km、遠点275km、軌道傾斜角51.66度の地球低軌道に投入されました。ISSとのドッキングに向けて、メインエンジンやマニューバスラスタを用いた精密な軌道調整が複数回実施されました。その結果、約2日間の追跡飛行を経て、2012年1月28日UTC0時9分にISSのピアース（ドッキング室）への自動ドッキングを成功させました。ピアースは、プログレスM-14Mが到着する直前の1月23日まで、先代のプログレスM-13Mが接続されていた場所でした。

プログレスM-14Mは、ISSにドッキングしている間、当時の第30次長期滞在クルーに向けて、合計2669kgに及ぶ様々な物資を届けました。この貨物には、食料、水、酸素といった生命維持に必要な消耗品に加え、科学実験機器、宇宙船の運用に必要なスペアパーツなどが含まれていました。ドッキングは2012年4月19日まで約3ヶ月間継続され、ISSの維持・運用に貢献しました。

2012年4月19日グリニッジ標準時（GMT）11時4分、次にISSへ到着する予定だったプログレスM-15Mのためにピアースポートを明け渡す形で、プログレスM-14MはISSからドッキングを解除しました。通常、役目を終えた補給船は直ちに軌道を離脱しますが、プログレスM-14Mは、その後の運用として特別な科学実験を実施するために軌道上にしばらく留まることになりました。この実験は「レーダープログレス」（ロシア語: Радар-Прогресс）と名付けられ、地球を取り巻く電離層の環境を宇宙から探測することを目的としていました。ロシア科学アカデミーのシベリア太陽地球物理学研究所が主導し、南シベリアのイルクーツク地域に設置された地上レーダーと協調してデータ収集が行われました。プログレスM-14Mは、この実験のためにスラスタ噴射による精密な軌道制御を行いました。

科学実験ミッションを終えたプログレスM-14Mは、いよいよ最終的な処理段階に入りました。2012年4月28日グリニッジ標準時（GMT）13時46分頃、機体は制御された軌道離脱マヌーバを開始しました。大気圏へ再突入したプログレスM-14Mの大部分は燃え尽きましたが、燃え残った破片は南太平洋上の、事前に設定された安全な海域へ落下しました。

搭載貨物

ISSへ輸送された物資の総重量は2669kgでした。

関連項目

2012年の宇宙飛行
国際宇宙ステーションへの無人宇宙飛行の一覧

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