プログレスM-45

プログレスM-45

プログレスM-45は、2001年に国際宇宙ステーション（ISS）への物資輸送任務を遂行した、ロシア連邦宇宙局のプログレス補給船シリーズの一機です。この無人宇宙船は、ISSの長期滞在クルーが必要とする生命維持物資や、科学実験に必要な機器などを軌道上の施設へ届け、その安定した運用を支えるために開発されました。NASAでは「プログレス5」（略称：5P）とも呼称されました。技術的な詳細としては、この機体はProgress-Mタイプのバージョン11F615A55にあたり、シリアル番号は245が付与されています。

飛行の軌跡

プログレスM-45は、2001年8月21日グリニッジ標準時9時51分32秒、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の第1射点から、信頼性の高いソユーズ-Uロケットに搭載されて宇宙へと旅立ちました。打ち上げから約2日後の8月23日同時刻にISSへ無事到着し、サービスモジュール「ズヴェズダ」の後方にある結合ポートへのドッキングを成功させました。これにより、ISSへの定期的な物資補給という重要なミッションが開始されたのです。

ISSへの貢献

このプログレス補給船は、ISSへ総計2,561kgに及ぶ多様な物資を運び込みました。これには、ISSの姿勢制御や軌道維持に不可欠な推進薬、クルーの生命を支える食料、飲料水、酸素、そして船内での科学研究活動を進めるための様々な実験装置などが含まれていました。これらの物資は、ISSで活動する宇宙飛行士たちの健康と安全を保ち、地球や宇宙に関する貴重なデータを得るための科学研究を継続するために不可欠なものでした。

特筆すべき搭載物

プログレスM-45のフライトでは、特に日本の宇宙開発に関連する重要なペイロードが搭載されていた点が挙げられます。微小粒子捕獲実験および材料曝露実験（MPAC&SEED実験）装置は、宇宙空間に存在する微小な宇宙塵を捕獲したり、宇宙環境が様々な材料に与える影響を調査したりするためのものでした。また、高精細度テレビジョン（HDTV）カメラ・システムも運ばれ、ISSからの高画質な映像伝送に貢献しました。これらの搭載物は、日本の宇宙科学・技術の発展に寄与するものでした。

任務完了と最終処分

プログレスM-45は、ISSに約3ヶ月間ドッキングした状態で、補給任務の遂行に加え、その推力を用いてISSの軌道制御なども支援しました。しかし、次の補給船であるプログレスM1-7のドッキングのためにポートを明け渡す必要が生じたため、2001年11月22日グリニッジ標準時16時12分01秒にISSからアンドッキングしました。軌道を離脱した後、プログレスM-45は地球の大気圏へ再突入する軌道に乗せられ、太平洋上空で安全に燃え尽きました。これは、運用を終えた宇宙機が軌道上に宇宙ゴミとして残存することを避けるための標準的な手順です。このミッションの成功は、当時のISSの建設と運用維持にとって極めて重要な役割を果たしました。

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