プログレスM-52

プログレスM-52

無人宇宙補給船プログレスM-52は、ロシア連邦宇宙局によって運用された国際宇宙ステーション（ISS）への物資輸送を担う機体の一つです。この補給船は、恒久的な有人拠点であるISSの運用に必要な消耗品や機器を地上から運ぶ重要な役割を果たしました。北米航空宇宙防衛司令部（NORAD）は、プログレスM-52をProgress 17、あるいは17Pといった識別名称でカタログ化しています。本機は、ロシアのプログレス補給船の改良型であるプログレス-M型（形式番号11F615A55）に属しており、製造されたプログレス補給船としては352番目の機体でした。

運用経過

プログレスM-52の軌道投入は、2005年2月28日の協定世界時（GMT）19時9分18秒に実施されました。カザフスタン共和国に位置するロシアのバイコヌール宇宙基地の1/5発射台から、信頼性の高いソユーズ-Uロケットによって宇宙空間へと打ち上げられました。

打ち上げ後、M-52は自律航行によってISSへ接近し、約2日間の飛行を経て、2005年3月2日、協定世界時20時10分8秒にISSとの結合を果たしました。ドッキング先は、ISSを構成するモジュールの一つであるロシア区画の「ズヴェズダ」サービスモジュールの後方（Aft）ポートでした。ドッキング完了後、ISSのクルーは補給船内部にアクセスし、搭載されていた物資の搬入作業を行いました。

M-52は、その後の約3ヶ月半にわたりISSに結合したまま、予備の物資保管庫として、またISSの軌道維持や姿勢制御に必要なスラスタ噴射にも使用されました。次の定期補給ミッションを担うプログレスM-53の到着準備のため、M-52は2005年6月15日の協定世界時20時16分10秒をもって、ISSからのドッキング解除が行われました。分離されたM-52は、ISSから安全な距離まで離れた後、最終処分に向けた軌道変更に入りました。

役目を終えたプログレス補給船は、大気圏に再突入させて燃やし尽くす方法で処分されます。プログレスM-52もこの手順に従い、2005年6月15日の協定世界時23時16分0秒に制御された軌道離脱マヌーバを実施しました。地球大気圏への再突入により機体の大半は燃焼しましたが、燃え尽きずに残った比較的頑丈な部品の破片は、翌日の2005年6月16日、協定世界時0時2分41秒頃に、南太平洋上の船舶が航行しないよう指定された海域に無事落下しました。

搭載貨物

プログレスM-52は、ISSに滞在する長期滞在クルーの生活を支えるための多岐にわたる物資を積んでいました。これには、新鮮な食料品や調理済みの食品、飲料水、そしてISSの船内環境を維持するための呼吸用の酸素などが含まれていました。また、軌道上で行われる様々な科学実験や技術試験に必要な機材や予備部品、そしてISSのシステム維持に必要な消耗品（フィルターやバッテリなど）も搭載されていました。

このミッションの特筆すべき積荷の一つとして、超小型衛星「TNS-0」が搭載されていました。この衛星はISSへ到着した後に船内で起動され、その機能が確認されました。そして、ISSに結合中の2005年3月28日、協定世界時8時30分には、当時ISSに長期滞在していた第10次長期滞在クルーの一員であるロシアのベテラン宇宙飛行士、サリザン・シャリポフ（Salizhan Sharipov）によって、計画された船外活動（EVA）中に手動でISSから宇宙空間へ放出されました。これは、将来の宇宙ミッションにおける小型ペイロード（搭載物）の放出方法や、小型衛星による地球観測などの可能性を探るための重要な試験的な取り組みでした。

関連項目

2005年の宇宙飛行
国際宇宙ステーションへの無人宇宙飛行の一覧

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