プログレスM-57

プログレスM-57（Progress M-57）は、国際宇宙ステーション（ISS）への定期的な補給を目的として開発・運用された、ロシア連邦の無人宇宙輸送機です。プログレス補給船のProgress-Mバージョン11F615A55に分類され、製造番号は357が付与されています。アメリカ航空宇宙局（NASA）においては、「プログレス22（Progress 22）」、またはその短縮形である「22P」の識別名で扱われました。

プログレス補給船は、ISSの維持管理と搭乗クルーの生活を支える上で欠かせない存在であり、軌道修正に必要な推進剤、長期滞在に必要な食料・水・呼吸用酸素、そして様々な宇宙科学実験に用いられる機材や試料などをISSに届けます。

打ち上げとISSへの飛行

プログレスM-57は、2006年6月24日15時8分18秒（協定世界時GMT）に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にある1番/5番複合施設から打ち上げられました。使用されたロケットは、信頼性の高いソユーズ-Uロケットです。宇宙へと運ばれたプログレスM-57は、地球周回軌道に乗った後、自動航行システムを用いてISSへのランデブー軌道に入りました。

打ち上げから約2日後、2006年6月26日16時25分（GMT）に、プログレスM-57はISSのロシア区画に接続されているピアースモジュール（ドッキング室）への自動ドッキングに成功しました。これにより、ISSへの結合が完了し、機内に搭載されていた物資の搬入が可能となりました。

補給物資の内容

このフライトでプログレスM-57がISSへ輸送した物資の総量は、約2,309kgに及びました。輸送された主な内容は以下の通りです。

ISSの軌道維持や姿勢制御に使用される推進薬
ISS搭乗クルーのための新鮮な食料、飲料水
呼吸に必要な酸素や空気供給品
船内の機器補修に必要なスペアパーツ
宇宙環境での科学研究や実験に使用される各種機器、材料
乗員の個人的な荷物や衛生用品など

これらの物資は、ISSでの活動を円滑に継続するために不可欠なものであり、長期滞在ミッションを支える基盤となりました。

任務終了と大気圏再突入

プログレスM-57は、約5か月半の間ISSに結合した状態で運用されました。この期間中、搭載された推進剤がISSの軌道修正に利用されることもありました。任務期間を終え、次期補給船にドッキングポートを明け渡すため、プログレスM-57は2007年1月16日23時23分52秒（GMT）にISSから無事分離（アンドッキング）されました。

ISSから離脱したプログレスM-57は、役目を終えた宇宙機として地球大気圏への再突入プロセスに進みました。翌日、2007年1月17日2時29分（GMT）に、制御された軌道離脱が行われました。大気圏への再突入は、予測された安全な海域である太平洋上空で実施されました。

大気との断熱圧縮と空力加熱により、機体の大部分は燃焼・分解しましたが、完全に燃え尽きなかった一部の比較的頑丈な構造物などは、同日約3時15分20秒（GMT）に太平洋の指定された海域に落下しました。このように、使用済み宇宙機を人が居住しない地域に落下させることは、宇宙活動における安全確保のための標準的な手順です。

プログレスM-57は、ISSへの重要な補給任務を着実に遂行し、その役目を終えました。そのフライトは、ISSの継続的な運用を支えるロシアの宇宙技術の一例として記録されています。

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