プログレスM-58

プログレスM-58（Progress M-58）

プログレスM-58は、国際宇宙ステーション（ISS）へ必要不可欠な物資を届ける役割を担った、ロシアのプログレス補給船シリーズの一つです。

機体情報

正式名称はプログレスM-58（英語表記: Progress M-58）です。機体はプログレスM型の中でも11F615A55バージョンにあたり、シリアル番号358として製造されました。NASAでは識別のため、プログレス23（略称: 23P）という名称を与えています。

打ち上げ

この補給船は、2006年10月23日13時50分36秒（協定世界時: GMT）に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にある1/5発射台から、ソユーズ-Uロケットによって宇宙へと打ち上げられました。

ISSへのドッキング

打ち上げから3日後の2006年10月26日14時28分46秒（GMT）に、プログレスM-58はISSのロシア区画、「ズヴェズダ」サービスモジュールの後方ポートへの自動ドッキングを試みました。しかし、ドッキングプロセスの最終段階において、自動ドッキングシステム「クルス」の一部であるKURS 2AO-VKAアンテナが正常に格納されたことを示す信号が確認できないという予期せぬ問題が発生しました。この技術的な不具合により、宇宙船とISS本体を完全に結合させる最終的なラッチ（固定）作業が、予定より約3時間遅延する事態となりました。

輸送物資

プログレスM-58には、ISSに滞在するクルー（搭乗員）の生存に必要な物資や、様々な科学実験を行うための機材が搭載されていました。具体的には、

クルー用の食料
飲料水
生命維持に必要な酸素
各種科学研究用の機器

などが含まれており、これら合計の輸送質量は2,205kgに達しました。

軌道上での修理

ドッキング時のアンテナ格納に関する問題は、軌道上での詳細なテレメトリ（遠隔計測データ）分析や目視確認によって、アンテナが実際に完全に格納されていないことが判明しました。この状態では、将来ISSから安全に分離する際に問題が生じる可能性があったため、対策が必要となりました。

問題解決のため、2007年2月21日にはISSの搭乗員による船外活動（Extravehicular Activity, EVA）が実施されました。この船外活動において、技術者たちの指示のもと、クルーは問題のKURS 2AO-VKAアンテナの突出したロッド部分を特殊なツールを用いて切断し、残った部分をワイヤで適切に固定して格納する作業を行いました。これにより、プログレスM-58はISSから安全に分離できる状態に修復されました。

運用終了と大気圏再突入

ISSでの約5ヶ月間にわたる補給任務と、ドッキングポートとしての役割を終え、プログレスM-58は2007年3月27日18時11分（GMT）にISSから無事分離（アンドッキング）しました。

アンドッキング後、プログレスM-58は軌道を離脱するための最終マヌーバを実施。同日22時44分30秒（GMT）に軌道離脱を開始し、地球の大気圏へと再突入しました。機体の大半は、大気との強い摩擦熱によって太平洋上空で燃え尽きましたが、完全に燃焼しきれなかった一部の構造物は、同日23時30分22秒頃（GMT）に設定された落下区域である太平洋上に着水しました。

関連項目

プログレス補給船の飛行一覧
国際宇宙ステーションへの無人宇宙飛行の一覧

参考文献

* 国際宇宙ステーションへの補給フライト 23P JAXA
A

（本記事は公開情報に基づき記述されており、情報の正確性には注意を払っていますが、全ての詳細を含むものではありません。）

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